尹政権の緊縮基調で組まれた来年度予算案…李大統領の公約事業に支障の懸念も=韓国
尹政権の緊縮基調で組まれた来年度予算案…李大統領の公約事業に支障の懸念も=韓国
韓国で来年度の予算案が新政権の国政哲学ではなくユン・ソギョル(尹錫悦)政権の方針に基づいて編成された状態でイ・ジェミョン(李在明)大統領に報告される見通しであり、このままでは「半端な予算案」として残ってしまう恐れがあるという懸念の声も上がっている。

 今月中旬に予定されている大統領主宰の国家財政戦略会議や国会への報告などを経て予算案の修正が行われる見通しではあるが、各省庁がすでに予算案の枠組みを整えてしまっているため、大幅な修正は難しい可能性がある。

 専門家たちは、国会への予算案提出期限である9月2日まで時間が限られている中でも、政府各省庁が現政権の財政方針や理念を予算に正しく反映させるべきだと口を揃える。というのも、政府の財政基調が緊縮から拡張的財政へと転換した状況において、このままでは来年の李在明政権の一部事業に支障をきたす可能性があり、責任政治の実現が難しくなるという指摘があるためだ。

 14日、官界の関係者によると、各省庁は5月末に尹政権の予算編成ガイドラインに従って策定した予算案を修正なしで企画財政部に提出した。国民からの意見収集や国会への提出スケジュールなどを考慮すると、新政権が発足する前に予算の編成作業を進めざるを得なかったためだ。しかし問題は、尹政権と新政権とで財政政策の方向性が正反対である点にある。

 企画財政部が今年3月に各省庁に伝達した「2026年度予算案編成および基金運用計画案作成指針」は、財政の持続可能性を強調するガイドラインとなっており、全ての裁量支出を10%以上削減し、義務支出も厳しく管理する内容が核心となっている。尹政権は発足初年度の2023年に24兆ウォン、2024年には23兆ウォン、今年も24兆ウォンの歳出構造調整を実施しており、来年も20兆ウォン台の削減を目指している。

 一方、李在明大統領は一貫して拡張的な財政運営を強調してきた。彼は先月26日の国会施政演説で「経済危機の中で政府が手をこまねいて緊縮ばかりに固執するのは無責任な傍観だ」と述べた。また今月3日の記者会見でも、「国家財政の積極的かつ大胆な役割が、これまで以上に重要な時期だ」と強調した。

 しかし企画財政部は、予算案編成の修正指針を配布する計画はないとの立場を示している。仮に今すぐ修正指針を出しても、国家財政戦略会議まであと1週間ほどしか残っておらず、各省庁が新たに予算を組み直して調整するには物理的な時間が足りないというのがその理由だ。また、国政の基本設計を担う国政企画委員会から、具体的な国政課題や財政規模がまだ提示されていない点も理由として挙げている。

 これに対して国政企画委員会側は、企画財政部が資料提出などに消極的であると反論している。企画財政部が非協力的であったため、国政課題の方向性を迅速に決定することができなかったという主張だ。

 企画財政部は、たとえ予算案修正指針がなくても、関係省庁との協議を通じて新政権の主要事業はすべて盛り込めると説明している。通常、企画財政部は各省庁から受け取った予算要求案をもとに、6~8月の間に関係省庁や地方自治体と協議し、国民からの意見も反映しながら政府予算案を編成し、9月2日までに国会へ提出する。

 ただし専門家の間では、このような協議方式では大規模な事業の予算は変更できたとしても、細かい事業に関しては前政権の方針通り進められてしまい、政策の整合性が取れなくなる可能性があるという指摘も出ている。

 たとえば、尹政権が削減した研究開発(R&D)予算や福祉関連費用などの主要国政事業については増額が可能だとしても、それ以外の細かな事業については前政権の削減方針がそのまま継続される可能性がある、というわけだ。

 ソン・ジョンピル「国の家計研究所」首席研究員は、「健全財政を前提に作成されて提出された各省庁の予算要求書には、李在明政権の公約や政策・理念が反映されていない」とし、「拡張的財政政策による景気回復など、現政権の国政課題を盛り込んだ修正指針が必要だ」と語った。続けて「仮に後から予算案を手直しするとしても、大きな国政課題だけが修正され、細かな事業までは前政権の方針に従わざるを得ないだろう」と付け加えた。
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