北朝鮮脱出住民(いわゆる脱北者)の累計入国者数は、2024年第一四半期時点で34,352人とされている。
人権委は、「脱北者は脱出から韓国社会への定着に至るまで、さまざまな危険にさらされ、身体的・精神的な苦痛を経験した国民である」とし、「脱出時の困難に加え、入国後の定着段階では家族や近隣とのつながりが乏しいまま、南側の社会に適応しなければならないため、社会参加への障壁や孤立感、就職や教育困難、更には社会からの偏見や排除などによって、適応が難しいという問題が繰り返し発生している」と懸念を示した。
また、「政府は脱北者の安定した定着支援を目的として、1997年に『北朝鮮離脱住民の保護及び定着支援に関する法律』を制定した」と説明し、「ハナ院(定着支援施設)や地域ハナセンター、地方自治体を通じて、生活支援、教育、就業、心理的支援など、社会適応と地域への安定的な定着を支援する制度を運営してきた」と述べる一方で、「いまなお、命がけで北朝鮮を脱出し韓国に定着した北朝鮮脱出住民が、生活苦の末に痛ましい最期を迎えるようなケースが後を絶たない」とし、「2023年には、脱北者の危機家庭における人権状況の実態調査を実施し、現在はその結果をもとに制度改善の方策を検討している」と明らかにした。
その上で「経済・医療・教育といった政策的支援は政府や自治体の努力によって克服可能だが、共同体の一員としての所属感や自尊感情は、構成員同士の相互尊重によってのみ得られる」とし、「したがって、脱北者の安定的な定着には、経済的・物理的な支援に加えて、彼らを私たちの社会の一員として受け入れ、共に生きる存在として認識することが何より重要である」と強調した。
最後に人権委は、「脱北者がが社会の一員として定着し、日常生活の中で尊重されて生きられるよう、韓国社会が差別や偏見ではなく、包容と配慮をもって、より成熟した社会へと進んでいくことを願っている」とし、「また、社会の構成員が脱北者との共生を通じて、互いの違いを理解し、共に生きる方法を学び合えることを期待している」と述べた。
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