韓国、最低賃金1万320ウォンに決定…17年ぶりの労使公合意
韓国、最低賃金1万320ウォンに決定…17年ぶりの労使公合意
韓国では、イ・ジェミョン(李在明)政権下で初めてとなる最低賃金が、時給1万320ウォン(約1100.32円)に決定した。これは今年の最低賃金より290ウォンの引き上げとなる。今回の決定は、労働界、経営界、そして公益委員が全員一致で合意したという点で、大きな意味を持つ。

 最低賃金委員会は10日、政府世宗庁舎で開催された第12回全員会議で、2026年の最低賃金を前年比290ウォン(2.9%)増の1万320ウォンとすることを決定した。月給換算(月209時間基準)では215万6880ウォンとなる。

 今回の引き上げ率(2.9%)は、2021年(1.5%)、2025年(1.7%)、2024年(2.5%)、2020年(2.87%)に次いで、過去5番目に低い数値。歴代政権の発足初年度の最低賃金引き上げ率と比較すると、キム・ヨンサム(金泳三)政権以降の政権の中では最低水準となる。韓国の通貨危機に直面したキム・デジュン(金大中)政権(2.7%)を除けば、これまでの政権の発足初年度の最低賃金はすべて5%以上の上昇を記録していた。ムン・ジェイン(文在寅)政権が16.5%で最も高く、ノ・ムヒョン(盧武鉉)政権(10.3%)、金泳三政権(7.96%)、パク・クネ(朴槿恵)政権(7.2%)、イ・ミョンバク(李明博)政権(6.1%)、ユン・ソギョル(尹錫悦)政権(5.0%)と続く。

 来年適用される最低賃金の影響を受ける労働者は、雇用形態別労働実態調査基準で78万2000人(影響率4.5%)、経済活動人口付加調査基準で290万4000人(影響率13.1%)と推定されている。

 労働界は、李在明政権の発足により低賃金労働者は尹錫悦政権よりも良い状況になると期待していたが、その期待を十分に満たすものではなかったと評価している。

 韓国労総は「低賃金労働者の生計費にはまったく足りない水準だ」とし、「足りない部分は李在明政権の宿題として残った。低賃金労働者の生計費不足分を補う特段の対策を講じるべきだ」と強く求めた。民主労総所属の労働者委員4名は、公益委員が提示した審議促進区間に異議を唱え、最低賃金合意前に途中退席した。16日にゼネラルストライキを予定している民主労総は、「ゼネストで政府に対する批判も出てくるだろう」とコメントした。

 一方、経営界は「小商工人連合会の委員らの強い反対意見があり苦しんだが、最終的には大局的な見地から合意に至った」と発表した。続けて、「直面する複合的な危機状況を克服するためには、労使がこれまでの対立を繰り返すのではなく、それぞれの立場を一部譲歩し、調整する必要があるという共通認識の下で合意が形成された結果だ」とし、「容易ではない決定であり、これに伴う負担と責任を重く受け止めている」と述べた。

 最低賃金が労使の合意で決定されたのは、2008年以来17年ぶりのこととなる。1988年の最低賃金制度導入以降、今回を除き労使合意が成立したのはわずか7回しかなかった。今回は最終合意前に民主労総所属の労働者委員4名が公益委員提示の審議促進区間に反発して途中退席したが、韓国労総所属の労働者委員5名が合意に参加し、労使合意成立の要件を満たしたと解釈されている。

 最低賃金委員会のイ・インジェ委員長は、「本日の合意は、社会対話を通じて意見の相違を調整し、対立を解決する底力がある成果として記憶されるだろう」とし、「労働者委員5名が残り、退席した民主労総委員たちの苦悩や主張を盛り込んで合意したものと理解してほしい」と述べた。最低賃金委員会は、労働者9名、使用者9名、公益9名の計27名の委員のうち、それぞれ3分の1以上、かつ全体で14名以上が出席すれば定足数を満たす。

 なお、雇用労働相は8月5日までに来年の最低賃金を告示する必要があり、これは2026年1月1日から適用される。
Copyrights(C) Herald wowkorea.jp 104