長崎市の端島=(聯合ニュース)
長崎市の端島=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】フランス・パリで開催中の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会は7日(現地時間)、朝鮮半島出身者の強制労働があった長崎市の端島(通称・軍艦島)を含む世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」について、強制労働を含む「歴史全体」を伝えるという日本の約束の履行状況に対する評価を正式な議題として採択するかどうかを巡り議論した。史上初の投票にもつれ込んだものの、正式議題とすることを求めた韓国の主張が退けられた。李在明(イ・ジェミョン)政権発足後も続いていた両国の友好的な流れが変わりかねないとの指摘も出ている。

 韓国は日本の措置が十分ではないとして正式議題とすることを提案したが、日本は2国間レベルで議論すべき問題だとして反対の立場を示し、この案件を削除した修正案を提出。韓国は受け入れられないとして採決を要求した。

 21の委員国による投票が行われ、日本の修正案が賛成7、反対3で可決された。一部委員国は棄権の趣旨の投票をしたとみられる。

 日本の措置を改めて評価すべきだとの韓国の主張より、韓日間で解決策を見いだすべきだとの日本の主張が委員国に受け入れられたかたちだ。16日まで開かれる世界遺産委員会のみならず、今後ユネスコのレベルで関連事案を提起することも非常に難しくなるとの懸念が出ている。

 長崎市の長崎港から船で40分ほどの距離にある端島は軍艦のような形をしていることから軍艦島と呼ばれ、2015年に世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」に含まれている。

 登録当時、日本政府は同地で朝鮮半島出身者の強制労働があったことを説明すると約束したが、十分に履行されているとは言えない状況だ。

 むしろ労働の強制はなかったとする主張を強化するなど、全体の歴史から目をそらし、自国に有利な事実だけを強調していると批判された。

 特に20年に東京に開設された「産業遺産情報センター」では、朝鮮半島出身者の強制労働について全く扱われず、日本の産業化を誇る内容だけが掲示されるなど、歴史の歪曲(わいきょく)と指摘されている。同センターが遺産から遠く離れた東京に設置されたことも問題視された。

 ユネスコ世界遺産委員会がこのような日本の態度を問題視し、日本側が是正措置を取るという繰り返しが10年続いた。2015年、18年、21年、23年の4回にわたり、日本側の対応に関する決議が採択された。

 ただ23年の決議は日本側の取り組みをある程度評価し、韓国側との対話継続を促す内容にとどまった。当時、韓国は委員国ではなかったため、交渉力が限定的だった。そのため韓国は、日本の不誠実な対応を委員会の議題にするため、全方位的な外交的努力を傾けることになった。


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