朝鮮中央テレビは21日、平壌の金正淑平壌製糸工場を紹介した。映像では工場前に設置された金氏一家の壁画が登場するが、金正恩氏のものが中央にあり、その隣に金日成氏と金正日氏のものが建てられている。
北朝鮮で壁画は偶像化の道具として使われる。金正恩氏が描かれた壁画は2022年10月、東部・咸鏡南道の温室農場の完成式で初めて確認された。3人の壁画は北朝鮮メディアで複数回確認されたが、左から金日成・金正日・金正恩氏の順で設置されていた。23年に朝鮮中央テレビが報じた西部の南浦市のトラクター工場にある壁画も金正恩氏が右端に位置しており、金正淑平壌製糸工場の壁画はその後に設置されたとみられる。
北朝鮮が金正恩氏の壁画を中央に配置したのは、同氏の業績をアピールする狙いがあるとみられる。韓国政府系シンクタンク、統一研究院の洪珉(ホン・ミン)先任研究委員は「生きている権力である金正恩氏の顔が先代と並んで掲げられるのも破格だが、金正恩氏の壁画を中央に設置したということは偶像化の構図を変えるという意味とみられる」と分析した。
金正恩氏は最高指導者に就任してから先代の神格化を警戒するとともに、独自の偶像化作業を続けてきた。就任初期には新年や金日成氏の生誕記念日「太陽節」(4月15日)、金正日氏の生誕記念日「光明星節」(2月16日)に両氏の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を訪れたが、最近は訪問回数が減少している。昨年には宮殿を訪れず、太陽節には3年連続で宮殿を訪問しなかった。昨年10月には談話などで金日成氏が生まれた1912年を元年とする「主体年号」の使用を中止した。
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