韓米同盟と韓米日の協力を強調する一方で中国との関係管理にも力を入れている李大統領が、どのような順序で電話会談を行うかに外交筋の関心が集まっていた。順序に大きな意味を持たせる必要はないとの意見もあるが、李在明政権の外交政策の方向性を示したという分析も出ている。
韓日関係の改善に関心が高かった尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領は、当選後に米国、日本、中国の順で電話会談を行い、在任中に日本との関係が悪化した文在寅(ムン・ジェイン)元大統領は就任直後に米国、中国、日本の順で首脳と電話会談した。
李大統領は石破氏との電話会談で、韓日両国が「相互の国益の観点から未来の挑戦課題に共に対応し、共存できる方向を模索していくことを期待している」と述べた。
外交においても「国益と実用」が基準という李在明政権の原則は韓日関係にも適用されるという意味とみられる。
李大統領はこれまで、対日政策において過去の合意を尊重するとの立場を示し、日本による植民地時代の強制徴用問題でも「国家間の関係は政策の一貫性が特に重要だ」と強調してきた。尹錫悦前政権で行われた、徴用被害者への賠償金支払いを韓国政府傘下の財団「日帝強制動員被害者支援財団」が肩代わりする「第三者弁済」を続けることを示唆したもので、この解決策を受け入れる被害者も増えている。
同財団によると、日本企業を相手取って訴訟を起こし、先月末に大法院(最高裁)で勝訴した被害者4人には約9億ウォン(約9600万円)の賠償金が支払われ、判決が確定した被害者67人のうち26人が第三者弁済方式で賠償金を受け取った。
韓日首脳はまた、これまでの韓米日協力の成果を評価し、今後も3カ国協力の枠組み内で多様な地政学的危機に対応するための努力を続けることで一致した。
「地政学的危機」とは北朝鮮の核・ミサイルの脅威を第一に意味するとみられ、韓米日軍事協力を強化する基調が続く可能性が高いとの見方も出ている。
両首脳はさらに、相互尊重と信頼、責任ある姿勢に基づき、より堅固で成熟した韓日関係を築くことでも意見が一致した。
原則論的ではあるが、韓国側は過去の歴史問題に対する日本の誠意を、日本側は韓日間の過去の合意の尊重をそれぞれ促したと分析される。
両首脳は和やかなムードの中で初の電話会談を終えたが、独島問題や歴史問題など敏感な懸案が定期的に浮上する韓日関係の特性上、このような雰囲気を維持するためには双方の相当な努力が必要だという指摘が出ている。
韓日間には、朝鮮半島出身者が強制労働をさせられた新潟県の「佐渡島の金山」で昨年11月に行われた労働者追悼式に、日本側の誠意がないとして韓国側が参加しなかった問題や、韓国と日本が済州島南沖の東シナ海海域を共同開発区域と定めた大陸棚協定の延長問題などさまざまな懸案が存在している。
一方、李大統領は今月15~17日にカナダで開催される主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて石破氏と対面すると予想される。両首脳はこの日の電話会談でも、直接会って両国関係の発展方向など相互の関心事について踏み込んだ議論を行うことを申し合わせた。
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