革新系「共に民主党」出身の李大統領が、保守陣営が重視する報勲と安全保障の価値を自身が強調することで、「統合政府、実用政府」を目指す意思を改めて示したものと受け止められる。
李大統領は演説で、「われわれが享受する自由と平和、豊かさと繁栄がどこから始まったのか忘れてはならない」とし、国を取り戻し、経済を成長させ、民主主義の模範国家になることができたのは、独立運動家や朝鮮戦争参戦者など国家功労者のおかげでだと述べた。
そのうえで、「特別な犠牲には特別な報償が与えられるべきだ」との考えを改めて示した。
また李大統領は「独立運動をすれば3代が滅び、(日本の植民地統治に協力する)親日をすれば3代が興るという言葉はもうなくならなければならない」と指摘。「李在明政権は責任と義務を全うする。国家功労者と遺族の皆さんが自負心と誇りを感じられるよう、さらに高く礼遇し、支援はさらに厚くする」と語った。
李大統領は朝鮮戦争参戦者の配偶者に対する支援強化や国家功労者へ医療サービスの提供など具体的な政策についても触れた。
李大統領は演説で、「犠牲」と「献身」をそれぞれ10回、「責任」を5回、「報償」を4回使った。「礼遇」と「記憶」はそれぞれ3回使用した。
「共に民主党」から出た李在明政権は安保や報償を軽んじているという認識を持つ保守指向の国民の不安感を払拭(ふっしょく)する狙いがあるとみられる。
先の大統領選で自身を支持しなかった人を含め「皆の大統領」になるという統合のメッセージを改めて強調することで、任期序盤の国政動力を確保する意思を示したものと受け止められる。
李大統領は、「国家功労者だけでなく、軍の将兵、消防士、警察官など国民の安全を守る人たちの勤務環境も改善する」と表明し、「制服を着た民主市民」が国民を守り、国が「制服を着た民主市民」を守るなどと述べた。
進歩陣営が追求してきた「民主」の価値と「制服」に象徴される保守陣営の価値が両立可能であると強調し、新政権の課題の一つである「内乱終息」とかみ合っている民主主義の強化と安保・報償の価値を同時に追求するという意思を示したものと受け止められる。
Copyright 2025YONHAPNEWS. All rights reserved. 40