5年の任期中に国政を安定的に運営するためには激化した政治のあつれきを収束させ、相手陣営を含めた統合のためのリーダーシップが欠かせないと指摘される。
両極端の政治対立は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領が当選した前回2022年の大統領選を経てさらに深刻化した。0.73ポイント差の僅差で勝敗が分かれた結果、激しい陣営対立は社会全般の不信感と疲労感を増幅させた。
昨年の総選挙で共に民主党が圧勝し、尹氏を輩出した「国民の力」が少数与党となり、あつれきはさらに深まった。
巨大野党となった共に民主党はコメの超過生産分の政府買い上げを義務付ける「糧穀管理法」改正案、「PA(フィジシャン・アシスタント)看護師」と呼ばれる一定の要件を満たした看護師の医療行為を認める「看護法」、下請け労働者に対する元請け企業の責任を強化し、ストライキを行った労働者に対する企業の損害賠償請求を制限する「労働組合および労働関係調整法」改正案を相次いで単独で可決させ、これを尹氏が拒否権を行使することで対立が深まった。
結局、尹氏は昨年12月3日に「非常戒厳」を宣言して状況を打開しようとしたものの、自滅を招いた。
非常戒厳と大統領弾劾を経て、政界はもちろん国民の間でも分裂が深まった。国民は弾劾賛成と反対に分かれ、深まった溝は簡単には埋められなかった。
専門家たちは、李氏が国政運営を成功させるためには、まず政治的あつれきの解消に乗り出さなければならないと口をそろえる。
このために解決すべき当面の課題は、分裂した国民を統合し、協力の政治を基盤とする安定した統治を実現することだ。
国会で過半数を握る共に民主党が与党になり、李氏にとっては国政の主導権を握るチャンスであり、野党と意思疎通ができるかどうかを見極める機会でもある。
李氏は選挙運動期間中、統合を最大の価値として掲げた。国民の半数程度しか支持しない「半統領」ではなく「大統領」になるとし、国民統合を最優先課題として取り組むことを約束した。
専門家らは李氏が政権発足後も統合のための行動を続けるためには協力の政治が制度化されなければならないと指摘している。
これまでの政府も与野党と政府による協議体などを設置して協力を試みたが、ほとんどが短期で終わっており、李氏の意思が何よりも重要と強調した。
李氏は選挙期間中も、大統領に就任すれば与野党の代表とできるだけ早く会うとし、時間を作って与野党の代表や特に野党側の重鎮らに会わなければならないと強調していた。
李氏の統合に向けた意思が近く発表される閣僚人事に反映されるかどうかにも関心が集まっている。
政治評論家のパク・サンビョン氏は聯合ニュースの取材に対し、「大統領は特定政党の大統領ではなく国民全体の大統領であるため、協力政治の対象である野党に先に手を差し伸べなければならない」とし、野党から閣僚を起用すべきだと指摘した。
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