ソウル市内の投票所で投票する有権者=3日、ソウル(聯合ニュース)
ソウル市内の投票所で投票する有権者=3日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国大統領選で、有権者は尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の「非常戒厳」宣言後続いた混乱の責任を問うた。3年前の2022年に実施された大統領選で革新系の文在寅(ムン・ジェイン)政権を審判して保守系の尹政権を発足させたが、非常戒厳に対する免罪符は与えなかった。選挙は革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏の勝利で幕を下ろしたが、8年で2度の政権交代を決めた民意は厳しかった。

◇多数与党に行政権力まで 問われる協力政治

 李氏の勝利により、国会(定数300)で過半数を占める共に民主党は行政権力まで手にした。171議席を持つ共に民主党は革新系野党と手を組めば約190議席を確保でき、李氏は尹氏の拒否権行使で頓挫した立法課題を解決できる。

 政府組織の改編も、首相や閣僚の国会人事聴聞会にも大きな問題なく臨める。

 ただ、国民は与野党の対話の原則は守るよう求めている。李氏は野党代表時代、尹氏のコミュニケーション不足を強く批判した。

◇激化した保革対立 統合が課題に

 大統領選は終わったが、保革対立は激化し、大きな後遺症を残した。

 尹氏の弾劾を巡り、賛成する勢力と反対する勢力の対立が強まり、過激化する様相も呈した。弾劾賛成派は毎週、尹氏の弾劾を求める集会を開き、弾劾審判の判断が遅れると憲法裁判所を非難。弾劾反対派も集会を開催し、一部は地裁に乱入した。

 李氏としては両極端に割れた陣営を統合しない限り、厳しい国政運営を強いられるとみられる。李氏は共に民主党を「中道保守」と位置付け、極右を除く健全な保守勢力は取り込む考えだ。

◇尹政権の国政課題は見直しへ 混乱の最小化も課題

 政権交代は尹政権の政策基調に対する有権者の「拒否」ともいえる。大幅な政策変化が予想されるが、衝撃を最小限に抑える必要がある。

 李氏が公言した司法と検察の改革は特にそうだ。李氏は検察の捜査権と起訴権の分離、大法官(最高裁判事)の増員を公約に掲げた。検察が政治に関与する弊害を防ぐためとしているが、検察つぶしに走る場合、支持を得ることは難しい。李氏は自身が絡む不正疑惑の裁判が大統領選後に延期され、司法リスクが完全に解消されていないことも負担になりそうだ。


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