<W解説>韓国大統領選、本日3日が投票日=課題を残したテレビ討論、期日前投票
<W解説>韓国大統領選、本日3日が投票日=課題を残したテレビ討論、期日前投票
韓国大統領選が本日3日、投開票される。世論調査の支持率では、ここまで、最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)候補がリードし、与党「国民の力」のキム・ムンス候補、野党「改革新党」のイ・ジュンソク(李俊錫)候補が追う展開で選挙戦が繰り広げられてきた。22日間にわたる選挙運動期間は終了したが、期間中に行われたテレビ討論会や期日前投票などでは課題を残した。選挙戦では対立候補に対するネガティブキャンペーンが過熱。テレビ討論会では候補者から不適切な発言も飛び出した。一方、先月29、30の両日に行われた期日前投票は、投票率が過去最高になるとみられていたが、前回大統領選より低い34.7%だった。専門家からは、ネガティブキャンペーンも影響したと指摘されている。選挙管理委員会の管理の甘さも指摘され、代理投票の不正も確認された。

今回の大統領選は、昨年12月に「非常戒厳」を宣言したことで弾劾訴追され、罷免されたユン・ソギョル(尹錫悦)前大統領の失職に伴い行われる。22日間にわたる選挙運動期間は終了したが、選挙戦は、尹氏への批判的な世論を追い風に、李在明氏が優位な戦いを続けてきた。投開票の6日前から世論調査の公表が禁止されているため、その後の状況は把握できないが、情勢は大きく変わっていないとみられている。

選挙運動期間中に3回にわたって行われたテレビ討論会では、候補者同士の非難の応酬となった。経済分野をテーマに、先月18日に行われた初回の討論会で、「トランプ(米政権)時代の通商戦略」を議論した際、李在明候補はキム候補に対し、「韓国経済が0%成長となったことについて、尹錫悦前政権の担当長官として責任を感じていないのか」と問いただすと、キム候補は、「李在明候補は我々が何かをしようとすれば全てに反対する。だから経済が復活する道が開かれなかった」と反論した。

また、李在明候補は初回の討論会に先立ち、南西部のクンサン(群山)市内での演説で、自身がキョンギド(京畿道)知事を務めていた時代に、違法営業をしていた商店主たちを説得したことに言及。「(鶏がゆ店は)5万ウォン(約5200円)使って1時間も汗をかきながら作っているが、それを売っても3万ウォンしか残らないのではないか。それなのに、(カフェは)コーヒーを1杯売れば8000ウォンから1万ウォンもらえるし、原価を調べてみたら120ウォンだった」と発言した。これに、カフェの経営者らからは「我々が20倍もの暴利をむさぼっているというのか」と怒りの声が上がった。韓国紙の朝鮮日報もこの発言を取り上げ、「李在明候補の経済認識は、現実とかけ離れたものが多い」と指摘。「原価120ウォンのコーヒーを8000ウォンから1万ウォンで売ることができれば、今現実に起こっている各商店の経営難は何だというのか」と批判した。討論会では、キム候補がこの発言を取り上げ、「選挙演説で『コーヒー1杯の原価は120ウォンだ』と騒いでいたが、今も120ウォンなのか」と李在明候補に尋ねた。これに、李候補は「言葉には脈絡というものがある。私が申し上げたのは2019年当時のコーヒーの原材料価格が120ウォンくらいだったということだ。人件費や施設費は考慮していない」と答えた。

先月27日に行われた最後の討論会では、李在明候補の長男がインターネット上で作成したとの疑惑がもたれている、女性の身体的特徴に関する不適切なコメントを「改革新党」の李俊錫候補が読み上げ、物議を醸した。「共に民主党」は李俊錫候補がこのコメントの内容を、女性蔑視の差別的な表現に捏造(ねつぞう)したと指摘。発言に虚偽があったとして公職選挙法違反の疑いで告発した。

選挙運動期間中の29、30両日には期日前投票が行われたが、一部の投票所では、代理投票が行われかねない事態が発生した。投票するために列に並んでいた有権者の一部が、投票用紙を受け取ったまま一時、投票所を離れ、食事に出かけるなどしていたという。投票用紙を投票所の外に持って出て行ってはいけないという明確な法規定はないが、中央選挙管理委員会は「今後、同様の事例が発生しないよう、再発防止に努める」と謝罪した。代理投票自体が実際に行われていた疑いがあることも明らかになった。警察は先月30日、選挙事務員の女が、夫の身分証を使ってソウル市内の期日前投票所で代理投票したとして、詐偽投票の疑いでこの女を逮捕した。また、投票所で投票する様子を撮影し、中国のSNSに公開した疑いで男が拘束される事案も発生した。

期日前投票は、当初、大統領選では過去最高の投票率になるとの見方があったが、34.74%で前回より2.19ポイント低かった。専門家は要因について、今回は木、金曜日に実施されたことが影響したとみている。また、候補者のネガティブキャンペーンに有権者が嫌悪感を抱き、投票への意欲を欠いたとの見方や、どの世論調査でも、革新系野党の李在明候補が支持率トップとの結果だったことから、保守層の有権者が期日前投票に行かなかったか、本投票まで情勢を見極めようとしたのではないかとの分析が出ている。
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