昨年10月、韓米日の次官とMSMT参加国の駐韓大使らがソウルの外交部庁舎で記者会見を行った(資料写真)=(聯合ニュース)
昨年10月、韓米日の次官とMSMT参加国の駐韓大使らがソウルの外交部庁舎で記者会見を行った(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮に対する制裁の履行状況を監視してきた国連安全保障理事会の専門家パネルに代わる新組織「多国間制裁監視チーム(MSMT)」が29日、制裁違反や回避の事例を集めた初の報告書を公表した。

 専門家パネルは常任理事国のロシアが拒否権を行使し、昨年4月末で活動を停止。韓米日の主導でMSMTが昨年10月に発足し、計11カ国が参加した。

 MSMTは初めての報告書で、北朝鮮とロシアの兵器のやり取りや北朝鮮軍のロシアへの派遣のほか、北朝鮮への石油精製品の年間上限を超えた供給、北朝鮮労働者のロシアへの派遣、北朝鮮の金融取引など国連安保理の制裁決議に違反した北朝鮮とロシアの協力について詳細に説明した。

 韓国外交部は「北とロシアの間で移転された具体的な武器体系や支援の時期、数量、移動経路、手段などを記述することで、これまで推測と状況だけで伝えられてきた北の武器移転の内幕を具体的に明らかにしたという点で意味がある」と評価した。

 報告書は北朝鮮が2023年9月からロシアにコンテナ2万個分以上の砲弾と関連物資を提供したと指摘した。 

 また昨年、北朝鮮製170ミリ自走砲と240ミリ放射砲(多連装ロケット砲)などを含め、3個旅団の使用量に相当する200台以上の重砲が移転された。この他にも弾道ミサイル100発以上、対戦車ミサイルや対戦車ロケット砲などがロシアに渡った。

 ロシアから北朝鮮に渡った武器体系も盛り込まれた。報告書は昨年11月以降、ロシアが北朝鮮に短距離防空システム、電子戦システム、妨害電波を発してドローンなどを操縦不能にさせる「ジャミング装置」などを提供し、使用法を教えたと指摘した。

 またロシアの防空システム「パーンツィリ」を搭載した車両が少なくとも1台、北朝鮮に渡ったほか、ロシアが北朝鮮の弾道ミサイルの誘導性能の改良にも協力したという。

 またウクライナに侵攻するロシアを支援するため北朝鮮が昨年、1万1000人以上の兵士をロシアに送り、最近も3000人を追加で派遣し、派遣された北朝鮮兵はロシア側からドローンへの対応などの訓練を受けたと指摘した。 

 報告書はさらに、北朝鮮からロシアへの武器輸送に使われた船舶や航空機の情報のほか、制裁回避に加担した個人や団体も明らかにした。

 また北朝鮮は昨年、ロシアに8000人の労働者を送り、今年も数千人を追加で派遣。建設、IT、医療分野などに投じる計画と指摘した。具体的には昨年12月から今年2月までに北朝鮮労働者481人(建設198人・繊維283人)がロシアに派遣されたと報告書は指摘した。

 外交部当局者は、最初の報告書が北朝鮮とロシアの軍事協力に焦点が合わせられた理由について、「国連の対北制裁決議違反が北とロシアの軍事協力によって最もあからさまに発生しており、これを扱う必要があるということで参加国が一致したため」と説明した。

 報告書はMSMT参加国が提供した情報を基に作成され、民間研究機関の情報や分析も一部引用された。

 外交部は今回の報告書が「対北制裁違反・回避活動に対する国際社会の監視網はかいくぐれないということを明確に示した」とし「北とロシアの軍事協力の違法性と不当性に対して国際社会の注意を喚起し警戒心を呼び起こすのに寄与するだろう」と評した。


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