利下げは昨年10月からの7カ月間で4回目となる。民間消費・建設投資など内需不振で1~3月期の実質国内総生産(GDP)がマイナス成長を記録し、米国の関税措置などの影響で輸出への不安も広がる中、利下げによって消費・投資を活性化させる必要があると判断したと分析される。
しかし、補正予算の編成など十分な財政政策が伴わずに利下げのみを続けても景気浮揚効果は小さく、不動産に資金が集中して住宅価格と家計債務だけが上昇するとの懸念もある。2.00ポイントまで広がった米国(4.25~4.50%)との金利差もウォン安・ドル高や外国人投資家の資金流出の面で懸念材料となっている。
金融通貨委は昨年10月に政策金利を0.25%引き下げ、金融政策を引き締めから緩和に転換。11月も市場の据え置きの予想に反して世界金融危機以来の2会合連続の利下げに踏み切った。
その後、今年1月は据え置き、2月に0.25%引き下げるも、4月は再び据え置いた。昨年10~12月期の経済成長率が0.1%と低調だったのに加え、米国の関税政策のリスクも重なったことで市場は利下げを期待したが、1ドル=1500ウォン(約158円)を超えるウォン安・ドル高が足かせとなった。
だが、1~3月期のGDPが前期比0.2%減少し、もはや利下げをためらう余裕はないというのが専門家らの共通した意見だ。
この日の会議に先立ち、韓国民間シンクタンク、LG経営研究院のチョ・ヨンム研究委員は「予想以上に良くない景気状況が指標によって次々に確認され、複数の機関が今年の韓国の成長率見通しを下方修正している」とし、「このような状況では韓銀も金利を引き下げざるを得ないだろう」と予想した。
現代経済研究院は今月、今年の成長率見通しを1.7%から0.7%に1.0ポイント下方修正し、政府系シンクタンク、韓国開発研究院(KDI)の成長率見通しも1.6%から0.8%に半減した。海外の主要投資銀行(IB)が提示した市場予想の中央値は4月末時点で0.8%にとどまっている。
韓銀もこの日公開した経済展望で今年の成長率見通しを0.8%とし、3カ月前の1.5%から0.7ポイント下方修正した。
このところ韓国通貨ウォンの対ドルの為替レートは1ドル=1300ウォン台とやや安定し、利下げを阻む障害物も消えた。
為替レートは先月9日、米国の相互関税発動に伴い日中の取引時間中に世界金融危機以来のウォン安・ドル高となる1ドル=1487.6ウォンを記録。その後は米関税政策の不確実性や財政赤字拡大への懸念などで急激なドル安に転じ、26日には1360.4ウォンと7カ月ぶりのウォン高・ドル安水準となった。
ただ、利下げが続けば住宅価格と家計債務が上昇し、再びウォン安・ドル高が進む可能性もある。
野村証券エコノミストのパク・ジョンウ氏は、不動産価格や家計債務は下半期に安定するだろうとしながらも、大統領選(6月3日投開票)後に新政権が発足すれば不動産価格が高騰するとの期待と低金利が重なり、再び不安定になる可能性も残っていると警告した。
韓国5大銀行(KB国民、新韓、ハナ、ウリィ、NH農協)の22日時点の家計融資残高は4月末から3兆4069億ウォン増えた746兆4917億ウォンで、先月に比べ増加ペースが加速した。
パク氏は、今回の利下げで米国との金利差が広がったことも負担になると説明した。ドルのような基軸通貨ではないウォンの政策金利が米国を大幅に下回れば、より高い収益率を求める外国人投資家の資金が流出し、ウォンの価値が下がるリスクが高まる。
利下げなどの金融政策のみによる景気浮揚には限界があるとの指摘も出ている。
チョ研究委員は「利下げの効果がないわけではないが、限定的とみている」とし、金融機関の融資が緩和されていないため、利下げされたからといって個人や企業が借り入れを増やせるかは疑問だと説明した。
さらに、今年に入り政府の景気不振への対応は金融政策から補正予算などの財政政策に移ったと分析した。
ただ、専門家と市場は韓銀が0%台という低成長からの脱出が急がれると判断し、下半期にさらに1~2回の利下げに踏み切ると予想している。
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