韓国は米国産牛肉の世界第1位の輸入国で、輸入量も毎年着実に増加しているにもかかわらず、市場の全面開放に対する圧力が強まっており、対応が必要だとの指摘が出ている。専門家らは、米国の要求どおり30か月の月齢制限を解除した場合、かえって消費者の不安を煽り、市場が萎縮する恐れがあるという点を米国に積極的に知らせるべきだと助言している。

26日、農林畜産食品部と米国農務部によると、2024年の米国産牛肉の韓国への輸出額は22億2000万ドル(約3160億円)で世界第1位を占め、2021年から3年連続で1位を記録した。2位は日本で18億7000万ドル(約2670億円)、3位は中国で15億8000万ドル(約2256億円)、4位はメキシコで13億5000万ドル(約1927億円)と集計された。

これは米国の韓国への牛肉の輸出量が毎年続けて増加している影響だ。昨年に韓国が輸入した米国産牛肉の輸入量は21万4637トンだ。2024年の22万9656トンより6.5%減少したものの、依然として牛肉の総輸入量(44万2133トン)の半分に達する44.3%を占め、圧倒的1位を占めた。米国産牛肉は8年間、牛肉輸入全体の割合で1位を占めている。

米国産牛肉の輸入を再開した2008年(3万2446トン)当時と比べると、過去16年間で米国産牛肉の輸入量は6.6倍に増えた。輸入再開初期には狂牛病に対する不安のため米国産牛肉に対する抵抗感が大きかったが、時間の経過とともに懸念は薄れ、安い米国産牛肉を選ぶ割合が高まったと分析されている。

実際に米国肉類輸出協会が韓国ギャラップとともに実施した「2024年度下半期牛肉消費者認識調査」によると、「米国産牛肉は安全だ」との応答が70.2%に達している。「今後、米国産牛肉を購入する意向がある」という回答も69.6%だった。

韓国政府は2003年に米国で狂牛病が発生した際、米国産牛肉の輸入を中止した。その後交渉を通じて、2008年から狂牛病が発生したことのない30か月未満の牛肉に対してのみ輸入を認めることにした。

このような状況でも、米国政府は牛肉市場の全面開放を持続的に訴えている。韓国政府などによると、米国側は20日から22日にかけてワシントンDCで開かれた米韓閣僚級関税技術協議で「国別貿易障壁報告書(NTE)」を取り上げ、韓国側の非関税障壁の解決に向けた努力を促したという。今回の協議で輸入牛肉の月齢制限に関する内容が含まれているとの観測が出ている。

米国は毎年、NTEを通じて牛肉の月齢制限について指摘してきた。今年の報告書でも「過渡期的な措置」だった月齢制限が16年間にわたり維持されてきたと不満を表明した。米国の畜産業界は、韓国の牛肉市場が全面開放されれば牛肉の輸出量がさらに増えると期待している。韓国は月齢制限にもかかわらず、輸入制限のない日本や中国よりはるかに多くの米国産牛肉を輸入しているためだ。

しかし専門家らは、米韓関税交渉によって月齢制限を緩和すれば、かえって消費者の不安を刺激し、輸入量が萎縮する恐れがあると指摘している。チュンナム(忠南)大学農業経済学科のキム・ソンフン教授は「月齢制限がかかっていたことにより、消費者がこれまで牛肉を安心して食べることができていたので、消費量が萎縮するだろう」と語った。実際に2008年には米国産牛肉の輸入に反対する大規模なろうそくデモが起き、社会的混乱が続いた。

最近、輸入量が急速に増加している豪州産牛肉が米国産に取って代わる可能性も指摘されている。豪州産牛肉の輸入割合は2022年の33.9%から2024年には44.3%へと10.4%増えた。一方で同じ期間に米国産牛肉の輸入割合は55.3%から48.5%に減少した。

米国との関税交渉で、このような韓国国内の状況と雰囲気をきちんと知らせる必要があると専門家らは助言している。GS&Jのソ・ジンギョ院長は「米国の畜産業界は韓国国内の雰囲気をよく知らない可能性があるため、米国政府が輸出に否定的な影響を与えかねないという点を知らせ、米国側の懸念を関税交渉において利用しなければならない」と助言している。
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