中国軍に軍事機密渡した韓国兵長、中国出身で親族にロケット軍将校も

韓国で中国軍の情報組織に対し、米韓合同演習に関する軍事機密を漏えいしたとして起訴された現役兵士が、中国出身で母親も中国人であることが明らかになった。

　5月26日、韓国の国会国防委員会に所属する与党「国民の力」のカン・デシク（姜大植）議員室が軍検察から提出を受けた起訴状によると、一般利敵罪などの容疑で最近拘束起訴されたA兵長は、韓国人の父親と中国人の母親の間に2003年、中国で生まれた。

　A兵長は5歳だった2008年に約5か月間韓国で暮らしただけで、大半を中国・北京で育った。彼は、中国ロケット軍の将校を務めて2005年に退役した母方の祖父母と、同居していたという。

　A兵長は2023年12月に韓国陸軍に入隊し、前線部隊で補給兵として勤務していた。

　A兵長が中国人民解放軍連合参謀部軍事情報局天津工作処所属の工作チームと接触するきっかけとなったのは、中国のSNSに軍服姿の自身の写真を投稿したことだった。

　A兵長は昨年8月、休暇中に中国・北京へ渡航し、中国情報組織のメンバーと接触。情報員として抱き込まれ、スマートフォンのIP転送プログラムを通じて軍事機密を提供することを約束したとされる。

　A兵長は、米韓合同演習「ウルチ（乙支）フリーダムシールド（UFS）」関連文書の入手と送付を指示され、部隊のパソコンを利用して関連資料を送ったことが捜査で判明した。当該文書は米軍が作成し、韓国軍に伝達されたもので、在韓米軍の駐屯地名称、兵力増強計画、有事の際に敵の精密打撃対象となり得る標的の位置などが含まれていた。

　さらにA兵長は、米韓合同演習の業務担当者の所属・階級・氏名・連絡先といった個人情報や、米韓連合司令部の教範リストなども中国側に渡した。

　その見返りとして、中国情報組織からモバイル決済サービス「アリペイ」を通じて8万8000元（約174万円）を受け取っていたことが明らかになっている。