国民の力のキム・ムンス(金文洙)候補、民主労働党のクォン・ヨングク(権永国)候補、改革新党のイ・ジュンソク(李俊錫)候補、共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)候補
国民の力のキム・ムンス(金文洙)候補、民主労働党のクォン・ヨングク(権永国)候補、改革新党のイ・ジュンソク(李俊錫)候補、共に民主党のイ・ジェミョン(李在明)候補
韓国大統領選(6月3日投開票)の主要候補者4人による初のテレビ討論会が、今月18日に開かれた。経済分野をテーマに、候補者たちが討論を繰り広げた。討論中には、与党「国民の力」のキム・ムンス候補と、最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)候補の間で非難の応酬となる場面もあった。

キム候補と、李候補のほかに討論会に出席したのは、「改革新党」のイ・ジュンソク候補と「民主労働党」のクォン・ヨングク候補。中央選挙放送討論委員会は、公職選挙法の規定に基づき、国会の議席数や直前の選挙での得票率、世論調査の支持率によって討論に参加する候補の対象者を決めたという。公共放送のKBSは、「テレビ討論は1997年の大統領選挙で初めて導入された」とし、「多様なメディアの普及により以前ほどの注目度はないものの、依然として大きな影響力を持ち続けている」と解説した。

第1回目のこの日の討論会は経済がテーマ。李候補は「自営業の売り上げが減っており、短期的には補正予算で庶民景気と内需を生かすことが重要だ」との考えを示した上で、「成長なくして分配はない。長期的には人工知能(AI)や再生可能エネルギー産業を育成し、成長動力を取り戻す」と強調した。キム候補は「企業が雇用を創出できるよう、規制を全面撤廃する」とし、「国民の皆さんの働き口をつくる雇用大統領、経済大統領になる」と宣言した。イ候補は、中国に対抗するため、科学技術を軸にした政策で、未来競争力を高めると主張。「金をばらまくポピュリズムではなく、教育と生産性向上で韓国を再び成長させる」と述べた。

一方、「トランプ時代の通商戦略」をテーマとする論戦の際には、李候補とキム候補の間で激しい非難の応酬となった。李候補はキム候補に対し、「韓国経済が0%成長となったことについて、ユン・ソギョル(尹錫悦)前政権の担当長官として責任を感じていないのか」と問いただすと、キム候補は、「李在明候補は我々が何かをしようとすれば全てに反対する。だから経済が復活する道が開かれなかった」と反論した。

また、李候補は討論会に先立ち、16日、南西部のクンサン(群山)市内での演説で、自身がキョンギド(京畿道)知事を務めていた時代に、違法営業をしていた商店主たちを説得したことに言及。「(鶏がゆ店は)5万ウォン(約5200円)使って1時間も汗をかきながら作っているが、それを売っても3万ウォンしか残らないのではないか。それなのに、(カフェは)コーヒーを1杯売れば8000ウォンから1万ウォンもらえるし、原価を調べてみたら120ウォンだった」と発言した。これに、カフェの経営者らからは「我々が20倍もの暴利をむさぼっているというのか」と怒りの声が上がっている。韓国紙の朝鮮日報は19日付の社説で「実際にはコーヒーの値段のうち、コーヒー豆代が占める割合だけでも約20%に達する。これに店の賃貸料や人件費、さまざまな付帯経費を加えれば、原価は大幅に上がるだろう」と指摘。「李在明候補の経済認識は、現実とかけ離れたものが多い」とし、「原価120ウォンのコーヒーを8000ウォンから1万ウォンで売ることができれば、今現実に起こっている各商店の経営難は何だというのか」と批判した。

討論会では、キム候補がこの発言を取り上げ、「選挙演説で『コーヒー1杯の原価は120ウォンだ』と騒いでいたが、今も120ウォンなのか」と李候補に尋ねた。これに、李候補は「言葉には脈絡というものがある。私が申し上げたのは2019年当時のコーヒーの原材料価格が120ウォンくらいだったということだ。人件費や施設費は考慮していない」と答えた。

今回の大統領選は、尹錫悦前大統領が罷免されたことに伴い実施される。世論調査会社のリアルメーターが19日に発表した世論調査の結果によると、次期大統領にふさわしい人物として李候補が50.2%で支持率トップ。これに、キム候補が35.6%、改革新党のイ候補が8.7%で続いた。現在、支持している候補を投開票日まで支持する意向があるかとの質問には、「引き続き支持する」との回答が82.3%に上った。また、今回の大統領選で政権交代を望む人は55.6%に上った一方、現与党「国民の力」政権の継続を望む人は39.5%にとどまった。調査は14~16日、全国の18歳以上の1509人を対象に実施された。

2回目のテレビ討論会は23日に実施予定で、社会分野をテーマに行われる。3回目は27日に政治分野をテーマに開催予定。KBSは「討論会後にはSNSなどで多数の『ショート動画』が拡散され、こうした映像が有権者の投票に影響を及ぼす可能性があることから、李在明前代表が優位に立っている中、テレビ討論がターニングポイントとなり得るのかどうか注目が集まっている」と伝えた。
Copyrights(C)wowkorea.jp 5