朝鮮は実録を原本一つだけ残さず、複数部を筆写して全国各地の深い山の中にある史庫に分けて保管した。そして、史庫近隣の寺刹がこれを管理した。そのうち、江原道平昌五台山に設けられた史庫は、月精寺が管理してきた主要な保管場所の一つだった。
この地にある国立朝鮮王朝実録博物館が5月1日に全館オープンを迎える。国宝である五台山史庫本の朝鮮王朝実録と、宝物である朝鮮王朝儀軌の原本を常時展示する専門博物館となる。特に、実録の原本に出会える韓国唯一の展示場という点で特別だ。
五台山史庫に収蔵されていた五台山史庫本朝鮮王朝実録75冊、朝鮮王朝儀軌82冊は、日本統治時代に持ち出されたが、長い時間をかけた努力の末、110年ぶりに還収された。博物館は2023年11月に常設展示室の一部を公開。その後、昨年7月から臨時休館し、10か月間の改装を経て全館開館に至った。国家遺産庁の関係者は、「展示・教育・映像コンテンツを拡充。企画展示室や映像室、子供向け博物館、教育室・講堂に加え、体験スペースも新設した」と説明した。
博物館では、全館開館を記念して特別展「五台山史庫へ行く道」を開催する。実録を保管していた五台山史庫の設立と運営、衰退の歴史を示す40点余りの遺物が鑑賞できる展示だ。山深い立地から、湿気に弱い書物管理のため、史官が定期的に本を取り出して風に当てる曝曬(ポセ:日干し)を実施。朝鮮王朝時代の儒学者、政治家、実学者と知られるチェ・ジェゴン(蔡済恭)や、実学者・能書家のキム・ジョンヒ(金正喜)なども若い頃、曝曬のために五台山史庫を訪れたという。特に、金正喜が曝曬後、江陵の烏竹軒に残した芳名録「尋軒録」は、本展で初公開となる。入場料は、現時点では無料。
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