20日、韓国の企画財政省と産業通商資源省によると、今回の協議には米国側からスコット・ベッセント財務長官と貿易政策責任者のジェミソン・グリア米通商代表部(USTR)代表が、韓国側からは経済司令塔であるチェ・サンモク(崔相穆)経済副首相兼企画財政相と通商トップのアン・ドックン(安徳根)産業通商資源相が出席する。
崔氏は22日、安氏は翌日の23日にそれぞれ訪米し、24日に交渉テーブルで同席する予定であることが分かった。韓国政府は「米ワシントンで米国と2プラス2通商協議(Trade Consultation)を行う計画だ」とし、「今回の協議は米国側の提案によって行われるもので、日程や議題などを最終調整中」と説明した。米側が協議の開催を主導したことで、貿易交渉の進展に意欲を示しているとみられる。
協議では、米国側が防衛費調整問題を正式に提起するかどうかも焦点の一つとなる。トランプ大統領は、大統領選挙中に韓国を「マネーマシン(money machine)」に例え、韓国の防衛費分担金を現在の9倍に当たる100億ドルに引き上げるべきだと主張していた。
トランプ政権は、深刻な自国の財政赤字問題の解決のため、莫大な国防費の削減を目指している。欧州連合(EU)やアジアなどの主要同盟国に国防費の負担を最大限に転嫁するという方向性が明確だ。トランプ大統領は、ハン・ドクス(韓悳洙)首相(大統領権限代行)との最近の電話会談でも、防衛費分担金に言及し、「ワンストップショッピング」式の交渉を要求した。
韓国政府は、まだ米国からこれに関連する具体的な要求はないとして、通商と安全保障の問題を優先的に分離して対応するという基本方針を示している。両国はすでに、バイデン政権末期に2026から2030年までの防衛費分担に関する協議が完了している。この点で、防衛費分担金交渉が本格化していない日本とは状況が大きく異なる。
韓国政府は、国家間の約束がすでに確定している状況であることを強調しつつ、防衛費分担調整の要求があったとしても、その幅を最小限に抑える方向で交渉を進める見方が強い。
安氏は20日のテレビ番組で、「現在まで(米国側から防衛費に関する議題提起は)ない」と述べた上で、「もしそのような話が出れば、米国側の立場を十分に聞き、関係当局に伝え、担当部署が対応する」と説明した。
韓国政府は、今回の協議では通商問題に焦点を当てる方針だ。貿易収支の均衡や非関税障壁の解消を含む包括的な提案を行い、相互関税や自動車、鉄鋼、半導体などの品目別関税の引き下げを目指す。
トランプ氏が特に重視する米韓間の造船協力や、アラスカ液化天然ガス(LNG)プロジェクトへの参加問題は、関税最小化目標達成のための交渉材料として活用できる可能性が高い。ただし、米国が韓国を最優先の交渉目標国として明確に定め、交渉を積極的に進めている一方で、最近、政府内外では、長期的な国益がかかる米国との交渉を慎重に進める必要があるという声も出始めている。
日本のほか、米国から同様の圧力を受けている国々でも、米国が半導体関税などの貿易政策を確定していない状況下での早期合意を避けるべきだとの見方が広がっている。
韓国は6月3日に大統領選挙を控えており、権限代行体制の現政府は、交渉の基盤づくりに注力し、アラスカガス開発のような長期的な国益に関わる最終決定は次期政府に委ねる可能性もある。
崔氏は15日の国会答弁で、「相手がいることなので、国益の観点から(今)最大限に交渉し、残りの部分は新政府が発足してから完了するのが良いのではないかと考える」と述べた。
安氏も同日、「軽率に交渉を妥結するよりは、確認して進むべき事項があるので、両国が相互に友好的に解決するよう協議を続けていく」と強調した。
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