第4次産業革命の到来により、国家間の技術競争が激化している。特にチャットGPTなどの生成型人工知能(AI)の使用が普遍化し、未来の世代を育てる教育も革新を要求されている。質問のない学校の授業を変えなければ、人工知能に対応することができる人材の育成は難しいためだ。

チュンアン(中央)大学人工知能人文学事業団のイ・チャンギュ団長(国語国文学科教授)は8日、「一種の知識の貯蔵庫である人工知能で、必要な知識を導き出す手段が質問」と述べ「質問する能力がなければ、貯蔵庫に知識がいくら多く蓄積されていても活用できなくなる」と語った。

ソンギュングァン(成均館)大学のペ・サンフン教育学科教授も「問題の解決よりも、何が問題なのかを探す能力が重要だが、これは問題を提示すれば人工知能が解決する時代になったため」と述べ「上手に質問をするためには学校教育を通じて学生たちの好奇心と自己主導性を育てなければならない」と指摘した。ウルサン(蔚山)工業学院のキム・ドヨン理事長(前教育科学技術部長官)は「質問する能力は人工知能の時代になって一層重要になった」と述べ「最も重要な質問を提示できる能力が必要になるため」と強調した。

教育を受ける学生にとって「質問」は背景となる知識を蓄積できるようにすると同時に、知的好奇心と思考力・創意性を養わせる。良い質問をするためには基礎知識や背景知識がなければならず、知的好奇心も必要なためだ。質問を通じて解答を導き出す過程では、思考力と創意力が育まれる。イ・チャンギュ団長は「学生たちにAIを活用する時には質問が『鍵』だと説明しているが、これは鍵を作れば大まかな答えが出てくるが、鍵を上手に作れば精巧な返事が出てくるため」と述べ「ただし、ある程度知識があってこそ良い質問をすることができる」と述べた。韓国教員大学教育政策大学院のキム・ソンチョン教授も「読書などを通じて積み上げた背景知識が土台になってこそ良い質問が可能だ」と話した。

問題は、現在の小中高教育を通じてはこのような「質問する能力」を十分には体得できないという点だ。正義党のイ・ウンジュ議員室が1月に教育部から報告を受けた「高校授業類型別学生参加実態調査」によると、2023年6月28日から7月14日にかけて全国の高校教師1211人を対象にアンケートした結果、58.6%が「授業の相当部分は講義方式で進めている」と答えた。教師の73.3%は「生徒参加型の授業ができるよう、授業方式の革新を行うべきだ」と答えた。教師たちも質問などを通じて生徒が参加する授業方式が望ましいと考えているが、入試に備えるために革新をできずにいるのだ。

教育の専門家らは学生たちの「質問する能力」を育てる方向で小中高の授業を果敢に改善する必要があると口をそろえる。クァンジュ(光州)教育大学のパク・ナムギ教育学科教授は「知的好奇心が生じた時に学習が行われるが、授業方式を変えて授業前に学生たちに質問を準備して来るようにすることも良い方法」と助言している。

これは大学などで活用されている、いわゆる「逆学習(flipped learning)」を小中高にも広く導入してみようという提案だ。授業前にあらかじめ学習資料を予習した後、授業中には教師に質問したり、特定の問題をめぐり討論するなどして、詰め込み式教育から脱皮しようという試みだ。ソウル大学産業人力開発学科のナ・スンイル教授(前教育部次官)も「大学入学前には質問するのが上手でなかった学生も、大学で逆学習を行うようになると次第に質問の質が改善される」と語った。キム・ソンチョン教授は「学生同士で解決できる課題を与え、質問が出てくるよう誘導するプロジェクト型授業を積極的に行う必要がある」と助言している。

教育部も学校教育で「質問」が重要だという点を認知している。教育部は昨年6月に発表した「公教育競争力向上方案」で、「質問する学校」120校をモデル学校に選定し、支援を行うと明らかにした。教育部の関係者は「質問と討論が日常化する学校文化の造成のための政策」と述べ、「これを通じて質問中心の授業モデルを教育現場に広めていきたい」と説明している。

学校授業の根本的変化のためには大学入試を改編しなければならないという声も出ている。キム・ソンチョン教授は「客観式な質問項目で評価するよりも、学生たちが考えを表現できるように論述・叙述型評価を行ってこそ思考力を育てることができる」と述べた。

先立って、教育部が2028年度から適用するとして昨年出した大学入試改編案には、大学入試を論述・叙述型評価に切り替える内容は盛り込まれていない。検討は行ったが、公正性の是非や答案採点の難しさなどを懸念して中長期的な課題として保留になったのだ。キム・ドヨン前教育科学技術部長官は「現行の大学入試制度を維持しながら、論述・叙述問題の量を年に5%から10%ずつ増やしてみると良い」と述べた。イ・チャンギュ団長は「大学入試でなくても中学・高校での質問や問題提起が上手な学生に対し評価点を与える方式も望ましい」と助言している。
Copyrights(C) Edaily wowkorea.jp 107