【ソウル17日聯合】サムスン電子とソニーについて、リーダーシップと経営成果の関数関係を分析した書籍が出版された。高麗大学国際経済学科の張世進(チャン・セジン)教授が客員教授として赴任中の米国で英文で出版した「SONY vs.SAMSUNG」を逆輸入したもの。過去半世紀に電子産業で最強を誇ったソニーの突然の衰退と、サムスン電子が新たに強者として浮上した理由に関する疑問をまとめた。
 張教授は、この10年の電子産業のデジタル化の中で、ソニーがネットワークを活用しハードウエアとコンテンツの相乗効果を追い求めたとすれば、サムスン電子は中核部品の生産に集中し競争で優位に立つことを追求してきたと指摘する。そのためソニーの不振とサムスン電子の急浮上は両社の技術やマーケティング、グローバル戦略の違いから生じたような印象を与えるようだが、より根本的な影響を与えたのは企業内部の組織プロセスと最高経営者のリーダーシップだと主張した。

 ソニーの場合、出井伸之前会長をはじめ最高経営者のリーダーシップが揺るぎ、専門経営者体制に変わったことで各事業部が別の事業部と協力できなくなり、戦略実行能力が無力化したと診断した。一方でサムスン電子の経営成果が向上したのは、デジタル製品に対する思い切った投資というスピードで対応する戦略と、同社特有の実行中心の企業文化が調和したためだと分析した。

 ただ、サムスン電子の企業文化は「恐怖経営」と呼ばれるほどに規律統制されており、組織の疲労度は拡大し、いつでも解雇がありうると分かっているために社員の忠誠度も下がっているという。これが、多様な意見を吸い上げ新たな製品とやり方を開発するクリエイティブなリーダーになるうえでの限界として作用していると指摘した。張教授は「次第に複雑化・高度化する経営環境は、李健熙(イ・ゴンヒ)グループ会長の『皇帝経営』と秘書室組織で受け止めるには難しい」と述べ、そうした経営による誤った投資ケースとして、自動車事業への進出やインターネットベンチャー投資などを挙げた。

 張教授は、現在のサムスンは10年前の全盛期だったソニーと酷似しており、サムスンの事業部間の相乗効果は結局、李会長と秘書室頼みになっているとみなす。ソニーの経験を振り返ると、強力なカリスマを持つ創業者世代から専門経営者体制に移行したときに、組織に多くの混乱が生じたことがわかるとし、サムスン電子はこうした承継過程で起こりうる混乱にあらかじめ備える必要があると指摘した。

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