<W解説>岸田内閣の新任4閣僚、とりわけ韓国メディアが注目するのは林官房長官
<W解説>岸田内閣の新任4閣僚、とりわけ韓国メディアが注目するのは林官房長官
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題により、政権が揺らいでいることは韓国でも報じられている。問題を受けて、最大派閥、安倍派に所属の4閣僚が事実上更迭されたが、とりわけ韓国メディアは、官房長官を務めてきた松野博一氏の後任として就任した林芳正氏に注目している。韓国経済新聞は林氏について「2021年11月から今年9月まで外相を務め、韓日関係改善の議論に参加した」などと伝えている。林氏は2021年11月の外相就任時にも日韓関係に「関心が深い人物」(朝鮮日報)などと韓国メディアで紹介された。

自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題で、今月14日、松野氏のほか、経済産業相を務めていた西村康稔氏、総務相を務めていた鈴木淳司氏、農林水産相を務めていた宮下一郎氏の閣僚4人が辞任した。事実上の更迭となった。後任の官房長官には林氏、経済産業相には斎藤健氏、総務相には松本剛明氏、農林水産相には坂本哲志氏がそれぞれ就任した。

韓国の各メディアは、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題に端を発した日本の政界の混乱ぶりを詳しく報じた。問題を受け、岸田内閣の閣僚4人が交代した中、韓国メディアは官房長官に就任した林芳正氏に注目。毎日経済は「日韓関係改善の議論に参加し、韓国でも広く顔が知られている。入閣した人物の中でも最も目立っている」などと報じた。

林氏は62歳。東京大学法学部を卒業後、大手総合商社の三井物産などに勤務した。米ハーバード大に留学し、米下院議員や上院議員のもとで働いた後、衆議院議員だった父親の林義郎氏の秘書を経て、1995年の参議院議員選挙で山口選挙区から出馬し初当選。防衛相、農相、文部科学相、外相などを歴任した。2021年に参議院議員から衆議院議員に転出。同年10月に行われた衆院選に山口3区から立候補して当選した。岸田派でナンバー2の座長を務めており、岸田首相の次のリーダー候補と目される。前述のように、これまで重要閣僚を歴任し、政策通としても知られる。

韓国メディアは林氏が2021年11月に外相に就任した際にも「日韓関係に関心が深い人物」として林氏を紹介。当時の東亜日報は林氏が宏池会(岸田派)に所属しているとした上で、「平和主義を掲げ、伝統的に周辺国との外交を重視してきた宏池会の特性上、林氏は韓国や中国と関わる活動が多い」と解説した。また、韓国メディアからは、「音楽に造詣が深い」という、韓国のパク・チン(朴振)外相と林氏との共通点も紹介されたことがある。長く冷え込んできた日韓関係だったが、今年は両氏のもとで劇的な関係改善が図られた。

林氏は14日、官房長官就任の記者会見を行い、「日々政府を代表して記者会見する立場として、内外の諸課題に一つ一つ結果を出していく岸田政権の取り組みを、しっかり国民にお伝えしていきたい」と述べた。また、自民党派閥のパーティー券収入をめぐる裏金疑惑について「私自身、パーティー券収入の還流は受けていない。宏池会(岸田派)から私の政治団体に寄付はされており、政治資金規正法にのっとり対応がなされている」と述べた。前述のように林氏は岸田派でナンバー2の座長を務めており、岸田首相の側近中の側近だ。会見では岸田氏について「お互い率直に意見交換し合える仲」とした上で、「私からも忌憚(きたん)のない意見を申し上げながら職責を果たしていきたい」と述べた。また、派閥を離脱するかとの質問には「今後、適時適切に判断する」と述べるにとどめたが、その後、17日のNHK番組では「どういう方向で(自民を)改革していくのかという道筋に沿って考えたい」と述べ、将来的に岸田派から離脱する可能性に言及した。

韓国メディアのアジア経済は林氏について詳しく紹介した上で、「日本の政界でも今回の閣僚交代はさほど効果がないとの見方が優勢だ」と指摘。「『政権ナンバー2』の役割を林氏がうまく遂行できるのか、日本メディアも関心を注いでいる」と伝えた。

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