「警察官がたくさんいて去年より安全だと感じました。」

2022年のイテウォン(梨泰院)での雑踏事故から1年が経ち、再びハロウィーン期間が始まった27日、梨泰院の路地はいつもと違って緊張感が漂っていた。多くの警察官と区役所の職員が配置され、車両と通行人の規制を行い、梨泰院を訪れた市民の顔にも緊張が感じられた。しかし、通りでの人出の制限を行っているため、懸念されるような状況は起こっていない。

27日、ソウル市ヨンサン(龍山)区の梨泰院駅1番出口の前は、昨年雑踏事故により死亡した犠牲者を追悼する市民や帰宅途中の会社員で混雑した。市民らは事故を予防するために配置された警察と公務員を見て、今のような安全管理が続けられなければならないと口々に話した。

警察は人出を制限するため、午後4時から梨泰院駅の1番出口と4番出口の前の車道に鉄製のフェンスを設置し、自動車の車線規制を行った。飲食店街のあちこちには鉄製のフェンスとともに警察と自治体の職員が配置され、通行人の動線が一方向につながるよう案内していた。歩道周辺の違法駐車車両は警察の案内に従って他の場所に移された。

これらの様子を見たハン・ジュヒさん(33)は、「昨年大変な事故があったので、このような措置を行うことはいいことだと思う」と話し、「今でも少し不安だが、前よりは安全だと思う」と語った。

帰宅途中の人々の円滑な移動のため、ソウル交通公社も人の流れのコントロールを行っている。地下鉄駅の各出入口の壁には、一方通行の実施と利用できる出入口が書かれた案内文が貼られている。ホームでは「駅構内が混雑しますので案内に従って移動してください」というアナウンスが繰り返し流されていた。

午後6時ごろから梨泰院を訪れる市民が少しずつ増え始めた。龍山区役所の職員や地域の消防隊員らは、安全棒を持ってホイッスルを吹きながら徒歩でパトロールを行った。路線バスは午後5時から梨泰院駅近くの停留所を通過した。各バス停にはハロウィーン期間中の安全対策のために、29日まで午後5時から午前3時の間バスが運行されないという案内文が貼られた。

市民らは、警察と自治体の対応は1年前より強化されているが、事故予防にさらに気をつけなければならないと話している。トンジャク(銅雀)区に住むチョンさん(22)は「(安全管理を)早く始めればハロウィーン当日には路地のすみずみまで安全になりそうだ」と語りながらも「安全対策や指針が市民に知らされておらず、不安が残る」と話した。チョンさんと一緒に梨泰院を訪れていたクォンさん(22)も「どうしても昨年の事故を考えると、これで完璧だというような対策はないように思う」と語り、「まだ対策が十分だとは言えないので、引き続き補完していかなければならない」と付け加えた。

市民が指摘するように、梨泰院の路地では不安な箇所も見られた。龍山区役所の職員らはスリップによる転倒事故を防ぐために、飲食店街から梨泰院駅へとつながる坂道に砂を撒き、その上にダンボールを敷いた。しかし、ダンボールは地面に固定されておらず、手で持ったり足で引っかけたりすると容易に動いた。坂道の右側に設置されている排水溝には固定されていないゴム製の板が置かれていた。

キョンサンナムド(慶尚南道)サチョン(泗川)市から来たチャン・レミンさん(25)は、「地面に敷かれたダンボールはさらに危険そうなので、今すぐ撤去した方がいいと思う」と話した。チャンさんは「坂道だから、ダンボールの上を人が通ると足が引っかかったり滑ったりする恐れがある」と語り、「(安全措置を)今後さらに改善しなければならない」と話した。

龍山区役所はこの日の午後7時ごろ、坂道に敷かれたダンボールを撤去し、地面に撒かれた砂を掃いた。区の職員たちは「滑りやすい路地だから注意するようにと案内しろ」と周辺に配置された職員たちに指示し、現場を離れた。

ソウル警察庁は24日、今月27日から31日までハロウィーンを楽しむために集まる人出に備えて安全対策を実施すると発表した。この期間、マポ(麻浦)、龍山、カンナム(江南)など主要な地域の警察署は警戒の強化を実施し、12の警察署の警察官や機動隊など計1260人を街頭に配置する。これに合わせて警察は道路と歩道上の危険な障害物の撤去を行い、ソウル交通公社と協力して密集が予想される地下鉄駅構内で重要犯罪を予防すると明らかにした。

一方この日、警察と自治体の安全措置が行き過ぎているとの声も出た。狭い道に設置されたフェンスで歩行が制限されていることについて、一部の市民は対応が行き過ぎていると警察に抗議した。飲食店街一帯で料理の配達をするイさん(47)は「すべての飲食店での配達を請け負っているが、私たちは通行が制限されているせいで仕事ができない」と話し、「今も警察官に頼んでここまで入ってきた」と不便を訴えた。近隣で食堂を経営する人も「道が塞がれているせいで誰も入って来ない」と話し、「亡くなった方々を追悼するのは当然だが、果たしてここまでしなければならないのかと思う」と語った。
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