「韓牛を初めて食べて驚きました。日本産の和牛よりも『さし』は少ないですが、より柔らかくて香ばしいという特徴があります。」

マレーシアのクアラルンプール都心の中心部に位置するル・メリディアンホテル内のレストラン「プライム(PRIME)」。プライム総括シェフのアントワーヌ・ロドリゲスさんは「日本やオーストラリア産の和牛の他にも最高等級の牛肉が存在するということを知って、挑戦してみたかった」としてこのように話した。

「プライム」は現地でも有数の高級レストランだ。ここでは先月からハラル(HALAL)認証を受けた韓牛のアロワイヨ・ヒレ・牛肩肉のステーキを提供している。すでにインターネットの口コミを見てこのレストランを訪れているお客さんがかなりいた。この日、韓牛ステーキを食べるためにレストランを訪れたという現地に在住するシルビア・イムさんは「2週間前に開かれたある展示会で韓牛を試食してみたが、とても美味しくてまたレストランに食べに来た」と話し、「今までに韓国料理店で味わったプルコギなどとは次元が違う」と満足そうだった。

3月にハラル認証を受けた韓牛がマレーシア市場に初進出してから、先月の21日までに計14トンの韓牛が輸出されている。2022年時点で年間の韓牛の生産量が28万8000トンであることを考慮するとまだ規模は大きくないが、検疫要件のために輸出が難しい牛肉が極めて厳しい認証を経て、世界人口の4分の1を占めるハラル市場を初めて突破したということに意味がある。国内唯一のハラール認証屠畜場であるハンダウンFSLのリュ・チャンニョル代表は「マレーシアで韓牛の知名度が上がって人気が根付けば、韓牛の世界進出が本格化する」と期待している。

現在輸出されている韓牛のほとんどは、現地の高級レストランや韓国料理店などで提供されている。プレミアムマーケティングを通じて韓牛の地位を固めるためだ。そして一部は今月からクアラルンプール市内の高級住宅地が密集しているプタリンジャヤ(Petaling Jaya)に位置するプレミアムスーパーであるケイプラスフードマーケット(K Plus Food Market)で販売されている。850坪規模のこの大型スーパーでは、現地の食材と共に韓国産の果物や野菜・加工食品などが販売されている。

マーケット内の精肉コーナーには、現地で高級食材として知られているオーストラリア産のアンガスビーフと共に高級包装された韓牛が陳列されていた。その横にはハラール認証の証明書も表示されている。価格は1等級のロース肉が100グラムあたり52.49リンギット(約1660円)で、オーストラリア産のアンガス霜降りロース肉に比べて約1.7倍高い。にもかかわらず、現地の消費者は韓牛に大きな関心を持っている。韓牛を購入した30代のイ・シェンさんは「韓国ドラマで特別な日に韓牛を焼いて食べる姿をよく見た」と話し、「気になっていた韓国産牛肉がハラル認証を受けて食べられるようになって嬉しい」と語った。

韓牛の他にもさまざまな韓国食品がハラル市場に進出している。韓国ドラマや映画、音楽などを通じて生まれた韓国に対する好奇心が食文化につながっているのだ。特に韓国製ラーメンは現地のどのスーパーでも見かけるほど人気の商品だ。韓国農水産食品流通公社(aT)クアラルンプール支社の関係者は「辛くて刺激的な味が好きなマレーシア人の口に韓国ラーメンはよく合う」と語り、「Kコンテンツによく登場する『ハンガン(漢江)ラーメン』も最近コンビニエンスストアで人気がある」と現地の雰囲気を伝えた。

今月13日からサンウェイピラミッド(Sunway Pyramid)ショッピングモールで開かれた「Kフードフェア」でも韓国製品に対する熱気を感じることができた。「Kフードフェア」はビビンバやプルダックポックンミョン・韓牛など韓国料理をその場で作って配る試食コーナーや、農産物・ラーメン・海苔・菓子などを紹介しながら販売する展示場、韓服の試着体験・伝統的な遊びなどができる体験の場だ。

イベントが開催された3日間、マレーシア人たちは韓国料理に大きな関心を示した。イベント会場を回って積極的に試食したり、その場で味わった韓国食品を購入しようと長い列ができたりもした。ビビンバを試食するために会場に来ていた60代女性のリニー・アビラさんは「ドラマ『冬のソナタ』を見てから韓国文化に興味を持つようになったが、その後マレーシアで大きな人気を集めた『宮廷女官チャングムの誓い』を見て食文化にも興味が湧いた」と語り、「キムチやコチュジャンなどはすごく口に合う」と話した。

11日にはサンウェイリゾートホテル(Sunway Resort Hotel)で韓国の輸出業者30社と現地のバイヤー56社が参加した輸出商談会も開催された。計237件、2000万ドル(約30億円)規模の商談が行われ、このうち22件、230万ドル(約3億4000万円)の業務提携および契約が締結される成果を上げた。リンゴ・梨・柿などの農産物の他に、オミジャ(五味子)飲料や豆乳・こんにゃくゼリーなどの人気が高かった。

マレーシア最大の韓国食品流通会社であるKMTグループのイ・マテオ代表は「2002年にワールドカップが開催された時に韓国食品の輸出が大きく増えたが、最近の韓流ブームにより似たような雰囲気が形成されている」と述べ、「マレーシアはもちろん、ハラル市場での韓国食品の流通はまだ始まったばかり」と強調した。
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