シン・ウンギョン の最新ニュースまとめ
不安と恐怖の共感帯は、“あり得ること”という前提がある時、より大きくなる。大韓民国の教育現場で充分、起こり得ることだからこそ、この映画は怖い。しかし、これを解決していく方法はとても大衆的である。
まず、主演女優のシン・ウンギョンが自慢していたとおり、キャラクターが生き生きしているということが喜ばしい。アン・ソンギとパク・チュンフンが『Two Cops』でキャラクターを形成してからというもの、好まれている方法だが、シン・ウンギョン&ムン・ジョンヒョクのコンビは新しい典型を生み出した。日常の平穏さをコミカルな状況に設定する一方、事件を解決するときはもの非常な集中力を見せる。
演技の点でもう一つ褒めたいのは、シン・ウンギョンとキム・ユンジンの緊張した対決の構図である。仲のよい親友でありながら、殺人犯と刑事という劇的な緊張感が、2人の俳優の円熟した演技でいっそう高まる。これが事実上の出産後復帰作というシン・ウンギョンは、多彩な色の演技で映画をリードしていく。
キム・ユンジンは、決して多く登場しない。しかし、見る者の心にアザができそうなほどの爆発力ある演技で、映画を引き締めている。登場シーンの過多が、決して俳優の力量を決定するものではないという事実を、はっきりと見せている。
『オーロラ姫』に続き、『6月の日記』も、殺人犯を前もって明らかにさせてから話を進めている。『オーロラ姫』がオム・ジョンファ1人の肩にすべてを担わせたとしたら、『6月の日記』は、主演から助演までが、それぞれ自分に与えられた役割を果たしているということが、もっとも大きな違いだ。
歩道橋で、ある中学生がメッタ刺しにされて殺される。続いて、同じクラスの生徒がマンションの屋上から転落する。強力系刑事チュ・ジャヨン(シン・ウンギョン)と、キム・ドンウク(ムン・ジョンヒョク)は、2人の生徒たちの胃から発見されたカプセルの中から、日記の一節を見つけ、同一犯による連続殺人であることをつきとめる。
1ヶ月前、交通事故で死亡したヨ・ジンモの文字と同じだとうことが明らかになり、ヨ・ジンモの母親ソ・ユニ(キム・ユンジン)が、有力な容疑者として浮上する。ジンモが書き残した『6月の日記』のとおり、殺人事件がふたたび発生し、真犯人がソ・ユニであることを決して隠さない。
裕福な家庭で育ち、アメリカで夫と共にジンモを生み育て、幸せに暮らしていたものの、夫が事業に失敗し、借金取りに追われる状況となって現実は苦しくなる。ユニはつらい毎日を生き抜くため、ジンモに気を配ってやれない。
学校でもいじめられていたジンモは、誰にも、立った一言も言えない。担任はもちろんのこと、友達もおらず、母親さえ自分の言葉に耳を傾けないからである。
ジンモに加えられるいじめは想像以上のものである。息子がほぼ自殺同然で交通事故に遭ってから、ユニは遅ればせながら息子が学校でどんな“こと”をされてきたのか、ようやく知る。映画は、この時点で無念さと同情心を共に誘発する。子を持つ親なら、ソ・ユニの選択に、決して石を投げるようなことはできなくしている。
一方、チュ・ジャヨンとソ・ユニは高校時代の親友である。2人はいじめられている友達を見てみぬふりし、結局、その友達は自殺するというショッキングな事件を体験した。
映画は、息子の書き残した日記帳を完成させようとするソ・ユニが、ジャヨンの甥ジュナを人質に取るところで、クライマックスに達する。
この映画では、悩んだ痕跡がはっきりしている。まず、“いじめ”という現象を決して放置してはいけないという、確かなメッセージを投げかけている。また、ユニとジンモ、ジャヨンとジュナを通して、愛情という名のもとでの親子間の無関心と一方的な要求が、どんなに間違っているかを見せている。
ジャンルの特性上、重く沈みがちなスリラー映画でも、映画は客席を配慮した。緊張をほぐすように、スパイスのようなコメディコードを適切に挿入している。ただ、捜査課長に担わせたオーバーアクションはやりすぎで、不要だという気もする。
正直、イム・ギョンス監督は前作『盗られてたまるか』と同じ監督かどうか疑わしいくらいだ。露骨に殺人事件を見せるようなことはしないカメラの構図と、緊張を増幅させる編集、なにより俳優たちの力量を充分引き出している点が際立っている。ただ、ジュナとジンモの関係がシナリオほどきちんと説明されていない点が残念だ。
シン・ウンギョンとキム・ユンジンは役割を果たしきったし、ムン・ジョンヒョクもまた、本格的な映画デビュー作で、それなりに良い点をつけてもらえそうだ。イム監督はムン・ジョンヒョクに、今現在の彼ができる適切な演技を要求したように思われる。ムン・ジョンヒョクはほどよくカッコ好く、ほどよくキュートで、ほどよく演技のトーンを維持した。
最後に登場する幸せな頃の、にっこり笑うユニの家族写真が、ずっと胸を痛ませる。
映画が終わった瞬間、ため息のようにあちこちからこのような言葉が聞こえてきた。
「『許されなかった者』を見たら、息子を軍隊に行かせるのが怖くなったし、『6月の日記』を見ると、学校へ行かせるのも怖い。一体、世の中はどうなってしまったんだろう」
シン・ウンギョンがステージ挨拶で言っていた言葉が印象的だ。
「映画を見ると、無関心がどれだけ恐ろしいものかが分かります」
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