ソウルの外交部庁舎前で供託手続き開始を発表した政府を非難する記者会見を開いた原告側の弁護士=3日、ソウル(聯合ニュース)
ソウルの外交部庁舎前で供託手続き開始を発表した政府を非難する記者会見を開いた原告側の弁護士=3日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国外交部は3日、徴用訴訟問題を巡る韓国政府の解決策(第三者弁済方式)を受け入れなかった原告4人に支給する予定だった判決金(賠償金)を裁判所に供託する手続きを開始したと発表した。 政府は今年3月、2018年に大法院(最高裁)で勝訴が確定した徴用被害者とその遺族の計15人に対する賠償金と遅延利息を、日本の被告企業の代わりに政府傘下の「日帝強制動員被害者支援財団」が支給する第三者弁済による解決策を発表した。 現在までに原告15人のうち生存している被害者1人を含む11人がこの解決策を受け入れ、生存している被害者2人と死亡した被害者の遺族2人の計4人は受け入れを拒否する立場を示している。 これを受け、財団側は日本企業からの直接賠償を求めて第三者弁済を拒否した原告4人分の判決金を裁判所に供託する手続きに着手した。 また賠償金の相続権を持つ遺族のうち、連絡が取れない2人についても他の家族の同意を得て供託する手続きを進める。 供託が成立すれば、供託金受領に関する案内などが記された供託通知書が債権者に郵送される。 外交部当局者は「対象者が所定の書類を備えて管轄の供託所を訪問すれば、いつでも判決金の受領が可能だ」と説明した。 政府は被害者や遺族にも個別に供託手続き開始を知らせた。 政府は解決策を発表した当時から「最後まで判決金を受け取らなかった場合、供託することが法的に可能だ」としていたが、解決策を拒否する被害者を説得するのが優先という立場を最近まで維持していた。 この時期に供託手続き開始を決めたのは解決策を拒否する被害者の説得には限界があると判断したためとみられている。 外交部当局者は、拒否した4人が意思決定をするまでもう少し時間が必要で、供託をすれば政府の解決策に少しでも理解を示したときにいつでも受領できる点を踏まえ、供託の手続きを進めることを決めたと説明した。 そのうえで「だからといって(説得から)手を引くのではなく、誠意を持って理解を求める努力を続けていく」と付け加えた。 また外交部当局者によると、供託手続き開始を決めた背景には被害者支援団体が政府の解決策を拒否した被害者のための募金活動を開始したこともあるという。 徴用訴訟を巡り勝訴が確定した原告側が進めている日本企業の資産の現金化手続きが、現在も進行していることとの関連については政府と財団がこれを否定した。 ただ被害者側は、政府の今回の措置は強制執行による現金化を止めることに目的があると非難した。 政府の解決策を拒否する原告4人は同日、政府の供託手続き開始を受け、これと関連した訴訟などを検討すると発表した。 また外交部と財団が開始を発表した供託手続きは違法かつ不当な措置とし、政府の発表は当事者への説明がしっかりとなされていない状態で突如行われたと非難した。 供託の有効性を巡っても政府と被害者団体は異なる立場を示した。 外交部当局者は「今回の供託は関連法に基づき適法かつ有効になされた」として「われわれが進める弁済供託は民法によると、債権者が弁済を拒絶、または受領が難しい状況がある場合に弁済者が行うものであり、財団も供託を有効に実施できる」と説明した。 一方、被害者側の弁護士はこの日の会見で「財団の弁済供託は債権者の明確な意思に反してなされたものであるため、弁済としての効力もない」と指摘した。
Copyright 2023YONHAPNEWS. All rights reserved. 40