米最高裁、大学入試での人種優遇を否定…黒人・ヒスパニック系に打撃、アジア系は賛否=韓国報道(画像提供:wowkorea)
米最高裁、大学入試での人種優遇を否定…黒人・ヒスパニック系に打撃、アジア系は賛否=韓国報道(画像提供:wowkorea)
米連邦最高裁は29日(現地時間)、大学入試で黒人やヒスパニック系などの人種的少数派を優遇する政策「アファーマティブ・アクション(Affirmative Action、積極的差別是正措置)」を違憲と判断した。これは約40年間続いてきた判例を覆すもので、教育界に大きな波紋を広げるものとみられる。黒人やヒスパニック系の学生は入学機会が減少する可能性が高まり、アジア系の学生は逆差別が解消されると期待する一方で、多様性の確保に懸念を示す声もある。

 最高裁は、人種的少数派の優遇入学制度で白人とアジア系の志願者を差別したとして、学生団体の「公平な入学選考を求める学生たち(Students for Fair Admissions、以下SFA)」がノースカロライナ大学とハーバード大学を相手に提起した憲法訴願をそれぞれ6対3、6対2で違憲だと決定した。

 AP通信など海外メディアによると、ジョン・ロバーツ最高裁長官は多数意見で、「あまりにも長い間、大学は個人のアイデンティティを計る基準として、技術や学習などではなく肌の色という誤った結論を下してきた」と述べた。

 そして「私たちの憲政史はそのような選択を容認しない」とし、「学生は人種ではなく、個々の経験に基づいて待遇しなければならない」と強調した。

 ソニア・ソトマイヨール最高裁判事は少数意見で、「数十年の先例と重大な進歩に対する後退」と反論した。

 これに先立ち、SFAは「大学の新入生を選抜する際に少数派を優遇する政策を適用し、白人とアジア系の志願者を差別した」と主張。公立大学のノースカロライナ大学と私立大学のハーバード大学を相手に、2014年にそれぞれ訴訟を提起したが、1・2審では敗訴した。

 1・2審は、大学が人種別に定員を割り当てたり、数学の公式に基づいて人種の分布を決めることはできないが、さまざまな要因の一つとして人種を考慮できるとした最高裁の判例を理由に、両大学を支持した。

 大学入試で少数派を優遇する人種的少数派配慮の入学政策は、1961年ジョン・F・ケネディ元大統領が「政府機関は志願者の人種、信念、肌の色、出身国と関係なく雇用されるよう積極的(affirmative)な措置を取らなければならない」という行政命令を下したことで設けられた。

 この行政命令により、雇用部門での差別禁止措置が実施され、各大学も人種的少数派優遇入学政策が導入された。

 主要大学で黒人の入学比率が上がるなど政策の効果は現れたが、これが白人とアジア系への逆差別だという主張が提起されてきた。

 そのため、カリフォルニア、ミシガン、フロリダ、ワシントン、アリゾナ、ネブラスカ、オクラホマ、ニューハンプシャー、アイダホなど9州の公立大学では、他の州と異なり、人種による入学優遇政策を禁止している。

 米連邦最高裁の今回の判決で、人種的少数派優遇政策の主な受益者とされた黒人とヒスパニック系の学生は、直接的な影響を受けるとの見方が出ている。

 ABC放送の報道によると、同政策を禁止したカリフォルニア州の一部の学校では、黒人とヒスパニック系学生の入学が50%ほど減ったという。

 韓国をはじめアジア系の影響については、見通しが分かれる。世論調査機関のピューリサーチセンターがアジア系のアメリカ人を対象に調査した結果、韓国系の場合「アファーマティブアクション」自体に対しては肯定(50%)的だったが、大学入試時の人種を考慮することに対しては韓国系回答者の72%が反対した。

 連邦最高裁の今回の判決で、米大学の入試方式の変更も避けられなくなった。大学が最高裁の判決に従いながらも、教育多様性の確保のために試験の成績への依存度を減らしたり、他のタイプの入試制度を導入するとの見通しが出ている。
Copyright(C) herald wowkorea.jp 104