<W解説>徴用工問題の解決策、創設が想定される日韓基金が果たす役割(画像提供:wowkorea)
<W解説>徴用工問題の解決策、創設が想定される日韓基金が果たす役割(画像提供:wowkorea)
日韓最大の懸案である元徴用工訴訟問題について、韓国政府が今月6日、韓国大法院(最高裁判所)判決で確定した被告の日本企業の賠償を韓国の財団が肩代わりする解決策を発表した中、両国の経済団体が共同基金を設立することが検討されている。徴用工問題では、賠償を肩代わりする主体となる韓国の財団への資金拠出について日本側は一貫して拒否。韓国政府が示した解決策では、被告の日本企業の資金拠出は前提としておらず、財源は民間からの自発的な寄付などによって拠出するとしている。1965年の日韓請求権協定当時、日本からの資金援用を受けたポスコなどが想定されている。こうした中、前出の共同基金は「徴用工」の枠組みの外で日韓の経済団体が設立しようと構想するもので、日本企業が財団に資金を拠出する事実上の代替案になるとみられている。

イ・ジェヨン の最新ニュースまとめ

元徴用工訴訟問題をめぐって、韓国外交部(外務省に相当)のパク・チン(朴振)長官が今月6日に記者会見して解決策を発表。朴長官は、経済や安全保障など、あらゆる分野で日韓協力が非常に重要だとして「長時間硬直した関係を放置せず、国益の観点から国民のために悪循環の輪を断ち切るべきだ」と述べた。その上で、日本に対し、「過去の不幸な歴史を克服し、和解と善隣友好協力に立脚した未来志向的関係を発展させていくため、共に努力することを望む」と述べた。

韓国側が解決策を発表した中、被告の日本企業が加盟する経団連と、韓国の全国経済人連合会(全経連)が共同で「未来青年基金」(仮称)を設立することで合意したと報じられた。基金は留学生への奨学金など、両国の若者の交流促進に活用する趣旨で設立するが、韓国の聯合ニュースは「韓国政府は財団が賠償金を肩代わりする解決案を提示して日本の被告企業の資金拠出を求めたが、日本政府が難色を示しており、これに変わって提示する解決策となる」と解説。「両国を代表する経済団体による合同の基金は、過去の清算という難題で行き詰った交渉に突破口を開けるための苦肉の策といえる」と伝えた。

韓国政府が示した解決策をめぐっては、財団による賠償金の受け取りに同意する原告がいる一方、「日本ではない韓国のお金が少しでも混ざっていれば、絶対に受け取らない」として断固受け取りを拒否する意思を示している人もいる。そのため韓国政府は基金を通じ「日本企業による事実上の資金拠出が実現した」として世論の理解を得たい考えだ。

韓国政府が解決策を発表したことを受け、日韓の経済団体はそれぞれコメントを発表。韓国の全経連は「韓日関係を未来志向的に発展させるため、日本の経団連とはこれまでさまざまな案を議論してきた。徴用問題をめぐり、韓日政府が合意に至ったことを機に、より具体的な議論を始める予定だ」とした。また、経団連の十倉雅和会長は「日韓関係の健全化に向けた大きな一歩であり、経団連としても評価する」とする一方、基金については「基金的なものを立ち上げるかも含め、これから検討したい」と語り、現段階では未定だと強調した。

こうした中、韓国の有力紙・朝鮮日報は8日、日韓の経済団体が設立を目指すこの基金に資金を拠出するよう、韓国のサムスン電子のイ・ジェヨン(李在鎔)会長が水面下で日本企業を説得していたことが分かったと報じた。同紙によると、今年1月、スイスで開かれた世界経済フォーラムに出席した李氏は、日本のIT企業の関係者と会い、基金への資金拠出を説得したという。同紙はこうした経緯を報じながら「日本政府も企業の自発的寄付には反対しないという立場であり、日本の企業が(基金への寄付に)参加する可能性が高いと韓国政府はみている」と伝えた。

Copyrights(C)wowkorea.jp 5