水原地裁のキム・ギョンロク(金京緑)令状専担部長判事は20日、資本市場法違反・横領・背任・賄賂の供与・外国為替管理法違反・証拠隠滅教唆などの疑いで、キム氏に対する拘束令状を発行した。金判事は「犯罪容疑が疎明され、証拠隠滅および逃走の恐れがある」と明らかにした。一緒に捜査を受けているヤン・ソンギル現サンバンウル会長に対しても拘束令状を発行した。
検察によると、キム元会長はイ・ファヨン(李華泳)元京畿道平和副知事側に約2億6000万ウォンの賄賂を提供したことに関与した疑いが持たれている。また、同グループのビルに入居していた民間団体「アジア太平洋平和交流協議会(亜太協)」が事前の許可もなく、北朝鮮の朝鮮労働党統一宣伝部の対南政策執行機構である朝鮮アジア太平洋委員長と副室長に、計21万5040ドルと180万人民元を支給させたとして、北朝鮮への不法送金についても疑いがかけられている。
キム元会長は前日開かれた令状審査に出席しなかった。金判事はキム元会長を尋問せず、提出した記録だけを検討し拘束の可否を判断した。8か月間、海外に逃避中のキム元会長を拘束した検察は、残りの株価操作の疑いと李代表の弁護士費代納疑惑などを究明することにも速度を上げる予定だ。拘束期間を延長すれば、今後20日間、身柄を確保したままで捜査ができる。検察はすでに李前副知事と亜太協会長のアン・ブス氏を起訴している。アン氏は20代大統領選挙を前にして、大田・忠清地域で李在明候補のために私的な組織を結成。事前選挙運動をした疑いでも起訴されている。
16日に開かれた李元副知事の裁判では、亜太協職員が証人として出席し、キム元会長の後援金一部を北朝鮮に送金したと証言した。この証言によると、亜太協はアン氏の指示を受け、北朝鮮側に3億ウォンを外国為替の不法取引で180万人民元に両替して渡したという。検察は、サンバンウルが北朝鮮経済協力事業を利用し、系列会社の株価を引き上げようとしたと疑っている。同社は2019年1月と5月、中国瀋陽で北朝鮮側と経済協力事業に合意。系列会社のナノスが北朝鮮鉱物事業権を約定したとして、株価が急騰した。
李代表が京畿道知事の頃、公職選挙法違反事件の弁護を引き受けた人々の多くは、同社の系列会社で取締役として活動し、弁護士費代納疑惑を受けている。弁護人らが取締役として活動した系列会社の中には、北朝鮮事業の恩恵を受けたナノスも含まれている。これとは別に、同社はイースター航空と双龍自動車の買収戦に乗り出すと発表したものの、実際には実行しなかった。この過程で株価が騰落し、転換社債を買収した人々が数十億ウォンの差益を得たという疑惑が提起された。水原地検は前・現職捜査官が李代表の弁護人だったイ・テヒョン弁護士がいる法律事務所側に、同社の捜査情報を漏らした事実も摘発。2人を拘束起訴した。
与党では、このような一連の株価操作疑惑について、李代表の弁護人を務めた人物と関連付け、弁護士費代納疑惑を提起している。同社の社外取締役陣多数が李代表と関わりをもち、その中の数名が株式も保有。この株式が3年満期転換社債というのが疑惑の焦点だ。
ただ、二つの事件のつながりが判明するかは未知数だ。法曹界では、李代表が公職選挙法違反事件で支出したと主張する弁護士費2億5000万ウォンは、過度に低い金額だという指摘が多い。李代表の上告審だけでも13人が弁護人として名を連ねた。元最高裁判事や憲法裁判官も事件を担当。捜査段階とは別に、判決の確定まで1審から破棄差し戻し審まで計4回の裁判を経ている。これだけの規模の弁護団を率いるのに、弁護士費が2億5000万ウォンというのは現実的ではないという指摘が多い。もし、李代表の弁護士費を代納した事実が出てくれば、賄賂罪が成立する可能性もある。イ・ミョンバク(李明博)元大統領もダース米訴訟費代納容疑で、収賄罪の有罪が確定した前例がある。
李代表とサンバンウルは、双方とも関連疑惑を否認。李代表は18日、KBSニュースに出演し、「弁護士費の代納、これを起訴すれば狂っていると思う」と語った。李代表は「弁護士費代納というのは、一体誰が誰に、いつどこで、どんな方法でいくらを与えたのか。一つも明らかになっていない。一種の魔女狩りのようなもの」と強調した。また「キム・ソンテ会長という方に会ったことがない。お酒を飲んでいるとき、誰かが(電話を)つないだという話もあるようだが、思い出せない」と述べた。
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