写真上より=『あいつの声』『極楽島殺人事件』『食客』
写真上より=『あいつの声』『極楽島殺人事件』『食客』
嬉しいニュースよりも憂鬱なニュースが多かった2007年の劇場街。最も悪いニュースは人々が以前よりも映画を「観ない」という事実だ。劇場数は増えたが、観客数は11年ぶりに減少した。映画人たちは背を向けた観客の心をつかもうと、あらゆる手を使ってみるが、ほとんどが無駄だった。スターたちの知名度や有名監督の演出力、前作の人気を押し出した映画が次々と苦杯を喫した。しかし“予想外の”興行を記録した映画もある。目立ったスターも話題になるようなマーケティングもなく、静かにヒットを記録した。この映画たちが観客を惹きつけた力は何だったのだろうか。

イ・ハナ の最新ニュースまとめ

<b>『あいつの声』 スリラー、濃いドラマに出会う</b>
今年上半期に公開された映画のうち、最高の興行作パク・ジンピョ監督の『あいつの声』。325万人の観客がこの映画を観た。実際に起きた誘拐事件をもとに作られた犯罪スリラーで、興行公式とは距離がある作品だった。誘拐犯は最後まで姿を現さずに、スリラーで期待される映像的な衝撃もそれほど強くなかった。

その代わり、映画を埋めたのは濃いドラマである。子供を失った親のやり場のない気持ちを、2人の俳優(ソル・ギョング、キム・ナムジュ)が見事に演じきった。鳥肌が立ちながらも妙に引きこまれていく犯人の魅力、そして映画『殺人の追憶』への観客の記憶を刺激したのも、一役買った。

<b>『極楽島殺人事件』 コミカル・ホラーにぴったりなコンパクトなストーリー</b>
『極楽島殺人事件』は正統派スリラーに近い。これもまた大ヒットとはかけ離れたジャンルだ。しかし、コンパクトなストーリーは口コミとなって映画ファンの間で素早く広まった。コミカルとホラーが適切に交わった味、スピード感ある展開とピッタリ当てはまったシナリオの精巧さが、200万人を越える観客を極楽島に誘い出すことに成功した。

<b>『食客』 さすがはホ・ヨンマン…しっかりとした原作の力</b>
何ひとつなかった。チケットパワーを持つトップスターも、熱狂的なファンを持つ監督も、評価団の賛辞もなかった。しかし秋以降に公開された映画の中で、『極楽島殺人事件』と並ぶ興行1、2位を記録中だ。去る11日まで2つの作品を観覧した観客数は、それぞれ290万(『食客』)、216万人(『極楽島殺人事件』)である。
『食客』の主演俳優キム・ガンウ、イム・ウォニ、イ・ハナは、“スター”というタイトルを付けるには重量感が落ちる。試写会後、メディアと評論家の反応も冷ややかだった。しかし原作に基づくしっかりとした期待感が、それを超えた。ホ・ヨンマンという当代最高の漫画家の名前は、“200万人”という韓国映画の新しいハードルを軽く飛び越えてみせた。ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』でかなりの手ごたえを得た様々な料理は、観客に与えられたサービスである。

<b>『正しく生きよう』 独特なストーリー、こんな映画ははじめて</b>
チャン・ジン(制作:脚本)ブランドをひっさげて登場した『正しく生きよう』も、ヒットの成功を占う人はほとんどいなかった。『小さな恋のステップ』『トンマッコルへようこそ』などで見せた、つい笑ってしまうような笑いを作る“チャン・ジン式”ユーモアも弱かった。それでも、前売り率1位の名誉を何週間も維持することができたのは、観客の好奇心を刺激する独特なストーリー。たとえ粗雑でも、経験したことのない新しいものを渇望する観客の要求に、この映画が“ジャストミート”したのだ。

<b>『ウリハッキョ』 真面目な視線はまだ生きている</b>
北海道の朝鮮学校を素材にしたドキュメンタリー『ウリハッキョ』の興行は、映画を通じて世の中の真の姿を見ようとする視線が残っていることを見せてくれた。

公開1週間が過ぎただけでもスクリーン数が減る現実で、『ウリハッキョ』は公開後、数か月が過ぎても、むしろ上映館数を増やす“怪力”を発揮した。

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