原油流出事故で国内最大の渡り鳥の楽園とされる泰安半島の生態系が膨大な被害を受けた様子を目の当たりにし、現場に駆けつけた日本人獣医師たちがいる。
日本の特定非営利活動法人(NPO法人)、野生動物救護獣医師協会(WRV)国際業務委員の馬場国敏さんと財務理事の野村治さんは泰安の原油流出被害の実態調査と、危機にさらされた動物の救護に向けた事前準備のため20日に釜山入りし、21日に泰安に向かった。
東京に事務局を置く同協会は1991年の湾岸戦争当時に起きたクウェート油田爆破によるペルシャ湾原油流出事故、1997年に島根県沖で発生したナホトカ号重油流出事故、1999年にフランスで起きたエリカ号事故など原油流出事故の現場で渡り鳥など野生動物の救護活動を繰り広げてきた。同協会は日本の環境省水鳥救護研修センターの運営、教育の委託を受け、ボランティアを育成し、事故発生に常に備えている。
馬場さんと野村さんは泰安で原油流出による生態系破壊の程度を観察した後、報告書を作成し、日本の環境省に提出する。必要な労力や装備の支援も要請する計画だ。環境省は報告書に記録された被害状態によって復興基金を支援する予定で、日本では50人あまりのボランティアが待機しているという。
馬場さんは「事故発生後、直ちに駆けつけたかったが韓国でともに活動する団体を探すのに時間がかかった。釜山日本領事館から泰安のように湿地が多い釜山の環境団体を紹介してもらい、この団体を通じて瑞山・泰安環境運動連合とともに調査や救護活動を行うことになった」と話す。馬場さんは最近パスポートをなくしてしまったが、民間外交のための出国という点を考慮した日本の外務省の配慮で迅速にパスポートの再発行を受けることができたという。
泰安より事故の規模が小さかったナホトカ号重油流出事故当時、同協会は水鳥1000羽を救護したが、死んだ水鳥の個体数は1万羽を超えた。浅水湾は東アジアに残る唯一の渡り鳥の楽園であるため、今回の救護活動は韓国だけを一方的に助けるためのものではないという。
馬場さんと野村さんは「事故発生から2か月後には防除活動を終えても差し支えないように見えるかもしれないが、われわれの経験から生態系の被害復興はこれからがスタートであり、文明の利器による事故の犠牲となった海辺の動物保護に乗り出す時だ」と強調した。
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