<韓国旅行>約5万年前に隕石が落ちた場所「ハプチョン(陜川)」(画像提供:wowkorea)
<韓国旅行>約5万年前に隕石が落ちた場所「ハプチョン(陜川)」(画像提供:wowkorea)
アメリカのテキサス州、韓国の面積の7倍の大きさほどの超大型小惑星が地球に向かってくる。NASAはこの小惑星が地球に衝突すれば、地球の生命体の絶滅が避けられないと結論付け、小惑星に直接爆弾を埋めつけて爆発させるという計画を立てて実行する…。

 これは1998年に公開されたマイケル・ベイ監督の映画「アルマゲドン」の話だ。この映画のようなことが現実に起きたら…?

 大きさは「アルマゲドン」で設定されているものよりは小さいが、実際にこの地に隕石が落ちたことがある。約5万年前、直径200メートルの隕石が朝鮮半島に白い光を発して落ちた。隕石が衝突した時の衝撃はとんでもないものだ。広島に落とされた原子爆弾の約9万倍に達する。隕石が落ちた場所から半径50キロは焦土化し、遠く200キロまでも熱風が吹き荒れた。当時、直径7キロ、高さ数百メートルの衝突口を作り出した。東アジアで一番大きな隕石の痕跡だ。韓国南東部のキョンサンナムド(慶尚南道)ハプチョン(陜川)郡に行くと、その現場を確認することができる。

 陜川の村、チョゲ(草渓)面とチョクチュン(赤中)面。この2つの地域は広く肥沃(ひよく)な野原の上に小川をはさんで向かい合っている。個々の地形は他と全く違う。村の外郭に沿って山に囲まれた広い盆地型で、まるで巨大な皿のようだ。

 2020年12月にマスコミから大きく注目された。皿の形をした盆地がどのようにできたのか、その理由が明らかになったからだ。韓国地質資源研究院の地質研究センター研究チームは、2021年1月から直径7キロの草渓・赤中盆地の現場調査を実施したが、驚くことにそこが朝鮮半島で初、東アジアでは2番目の隕石衝突口だという事実が明らかになったのだ。今まで報告された隕石の衝突でできた噴火口形態の地形は世界中に200か所ほどあると伝えられた。

 この隕石衝突口が世の中に知られたのには、故イム・パンギュ氏の役割が大きかった。イム氏は草渓・赤中盆地が隕石の衝突によって作られたものだと最初に主張した人物だった。イム氏はそこで生まれ育った。生前、私費を投じてここが隕石の衝突口だということを明らかにしようと努力した。2002年にはアリラン1号が撮影した衛星写真などを根拠に草渓・赤中盆地に対する「隕石盆地文化財指定」の申請もした。今は、陜川韓医学博物館内部に個人が生前使用していた遺品などを集め、博物館として運営している。

 一般人が隕石衝突口を見ようとするなら、テアム(大岩)山の頂上(591メートル)まで行かなければならない。草渓面や反対側のテヤン(大陽)面から行くことができる。頂上はパラグライダーの滑降場としても利用されているため、林道に沿って車で上がることができる。

 頂上に着くと、四方が稜線(りょうせん)に囲まれている。まるで誰かが城壁を築いたように囲まれているのを感じる。

 大岩山の頂上周辺は山火事監視所や1本の大きな木が守っている。太陽が真上に上る正午ごろに行くと、盆地の形態が一番よく見える。また月が昇らない大みそかの日には星が見やすく、明け方には日の出を鑑賞するのにも良い場所だ。ただ風が強く吹き、冬は非常に寒いので備えをしっかりして行くといい。

 年末になると旅行客が必ず訪れる場所がある。それは日没の名所だ。陜川にも日没の名所がいくつかある。その中でも一番知られているのはファンメ(黄梅)山だ。黄梅山は、春にはツツジ、秋にはススキで有名な所だ。

 黄梅山(1108メートル)はカヤ(伽耶)山と共に陜川二大名山として挙げられる。黄梅山のススキ平原は海抜900メートルの尾根に沿って果てしなく広がる。ススキは陰がある所では育たない陽生植物のため、大きな木がない黄梅山の尾根はススキが育つのに最適な環境だ。以前、牧場があった場所なので広い高原を維持しているのだ。実は黄梅山はツツジで有名だ。ツツジ群落地が伸びて本来の姿を現すと、全国から人が集まってくる。

 キャンプ場入口に車を止めると、「海抜850メートル」という案内板が立っている。高山が眼下に広がり、空に手が届きそうだ。一滴の汗をかくことなく眺められる風景は、あまりにも貴重で恐縮してしまうほどだ。黄梅山頂上側を見ると、白く光る稜線が目に飛び込む。黄梅山が誇るススキ群落地が広がっている。

 ゆっくり歩いても10分ほどで着く距離だ。道はほとんど平地に近くて楽だ。道に沿って両側にススキの平原が広がっている。どこを見てもススキだ。数十万坪という数字は無意味に感じる。「果てしなく広がるススキの海」という言葉そのものだ。

 黄梅山の頂上に向かうと、下に山城が現れる。映画の撮影のためのセットとして建てられたものだ。山城の楼閣は隠れた日の出ポイントだ。山城の向こうの山裾が赤く染まっていく風景は、息をのむほどに美しい。

 夕日に染まったススキの平原はまぶしい金色に替わる。風が吹くたびに光は波のように揺れる。ススキの波が押し寄せるたびに、世の憂いも1つずつ消えていくようだ。


約5万年前に隕石が落ちた
約5万年前に隕石が落ちた




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