今回は、G20多国間会議中の会談であったため25分と短い時間で共同声明もなかったが、北東アジア情勢における「足元の火」である北核問題・グローバル供給網問題など、安保と経済の懸案に関する協力関係について話し合ったという点で、その意味は小さくない。
3期目が確定した習主席と、就任から6か月が過ぎた尹大統領はこれから4年半の間、北東アジアの平和のために緊密な疎通を続けなければならない仲である。今回の初の対面の象徴性が注目された理由でもある。
「多国間会議での簡単なあいさつや歓談として終わるのでは」という予想に反し「首脳会談」が急きょ実現したのは、それほど両国が互いを必要とし伝えるべきことがあったという証拠である。尹大統領にとっては、北朝鮮の度重なるミサイル挑発と核実験準備の中、中国の役割が緊要な状況である。一方習主席としては、対中けん制戦略を繰り広げている米国に一層近づいている韓国に対し「広範囲な利益の共通集合」を掲げ、けん制しなければならない必要がある。
「北の挑発に対し中国が建設的な役割を果たしてほしい」という韓国側の要求に、習主席は「韓国が南北関係を積極的に改善していくことを希望する」として、原論的な答えにとどまった。米中首脳会談では「北朝鮮の合理的懸念をバランスよく解決していかなければならない」と語った。これは「北核・ミサイルの挑発は、米韓同盟間の合同演習などの脅威から防衛するための自衛権の行使だ」という北朝鮮の論理に同調する表現である。
北朝鮮の挑発が続く場合、米国によるサード(THAAD:終末高高度防衛ミサイル)の韓国追加配置など、中国の嫌がる防衛措置を強化するしかなくなる。これはすなわち「中韓対立の火種」となる。台湾海峡・グローバル供給網などの問題において米国と対立している中国は、北核をむしろ「米国に圧力をかけるカードの一つとみなしている」という疑いも持たれている。中国を「北朝鮮を動かすテコ」とする戦略も、いまや寿命が尽きかけている。
韓国の輸出の25%ほどを占める中国市場は「韓国経済成長のけん引役」であった。また、韓国の技術と資本が中国の高度成長に大きな礎になったのも事実である。米中覇権競争など外部発の変数により変曲点を迎えた中韓関係は、いまや「新たな共生の解決法」を見出さなければならない。世界化時代からブロック時代へと移っていく転換期には、何よりも国益優先の実用的アプローチが求められる。「半導体の超格差技術」など、中国が持ち得ていないものを韓国が持っている時、対中交渉法はより威力を発揮するものだ。
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