韓国教育省、2022改正教育課程に「自由民主主義」の表現を盛り込む…「過去に逆戻り」と批判の声も(画像提供:wowkorea)
韓国教育省、2022改正教育課程に「自由民主主義」の表現を盛り込む…「過去に逆戻り」と批判の声も(画像提供:wowkorea)
韓国教育省が2025年から高校生が学ぶことになる新しい韓国史の教科課程に、「自由民主主義」という表現を再び入れることにし、物議を醸している。

 韓国メディア「ヘラルド経済新聞」によると、教育省は9日、「2022改正教育課程行政予告案」を発表。この案の中で中高校歴史・韓国史教育課程改正案には、文政権で「民主主義」に変えた「自由民主主義」という表現が再び追加されることになった。また、小中学校の社会教育課程には「企業の自由」と、「自由競争を基盤とした市場経済」という表現を明示した。

 このような表現の変更について、「あまりにも当然だ」と賛成する意見と、「学生に混乱を与える」と批判する声が上がっている。

 今回の改正案では歴史・社会教科領域で表現の問題を巡り、賛否両論が出ている状態だ。

 8月末に初めて公開された政策研究陣試案で抜けていた「6.25南侵(南に侵略)」という表現は、9月に開かれた公聴会を経て再び含まれた。

 政策研究陣は当初の試案で「6・25戦争」という表現を使った。しかし、「南侵」という表現を使うべきだという指摘を反映し、これを「南侵で始まった6・25戦争」と修正。とくに教育省は歴史教育課程に「自由民主主義」、「自由民主的基本秩序」という用語を明示した。

 当初、政策研究陣が作成した試案には、「民主主義」とだけ表記されていた。しかし、同省が憲法前文や関連法律規定、歴代教育課程事例、国民の意見などを総合的に考慮し「自由民主主義」を追加したという。

 前政権は2018年教育課程を改正する際、「自由民主主義」を「民主主義」に変え物議を醸した。「民主主義」という表現の前に「自由」を入れるかは、これまで韓国の歴史教科書を巡る代表的な理念論争の一つだった。

 保守側は1987年に作られた現行憲法が「自由民主的基本秩序」に言及したとし、歴史教科書に「自由」という表現を入れるべきだと主張。革新陣営では「民主主義」がより中立的な表現だとし、「自由民主主義」が独裁政権時代に、事実上「反北・滅共」と同一視されたという点を強調してきた。

 一方、保守系のメイル新聞が11日付の社説で、「大韓民国のアイデンティティを否定する史観強要は二度とあってはならない」と、前政権を批判した。

 同紙は今回の改正案について、教育省の決定は文政権下での研究陣が作成した高校韓国史教科課程試案を「正常化」したものだと主張。「大韓民国のアイデンティティを否定する史観について、教科書で生徒に注入しようとすることは知的暴力と言わざるを得ない。二度とこのような不純で陰険な試みが繰り返されてはならない」と指摘した。

 左派系新聞のオーマイニュースは9日の記事で、「OECD(経済協力開発機構)に加盟した38か国の中で、事実上韓国だけが『自由民主主義』と表記している。そのため、国際社会で生きていく韓国の子どもたちが混乱するのではないか」と主張した。

 同紙は、全国歴史教師会のパク・レフン会長の主張を引用し、「教科書に自由民主主義と表記する先進国は一つもない。自由民主主義という用語を学んだ韓国の子どもたちだけが、国際社会で混乱するのではないか」と憂慮したと報じた。
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