習主席の執権以前、中国には2つの支配構造があった。理念を優先視する「毛沢東時代」と、改革・開放の実用主義を強調する「トウ小平時代」がそれぞれ30年ずつ執権した。「“習近平独走時代”は、過去それぞれの30年に続く3回目の30年だ」と専門家たちは解釈している。これまでの10年につづき、これからの10年間は権力の座を守り、その次の10年は自身の最側近を立て摂政政治を行なうという意味が強いということだ。
習主席による長期執権の正当性は、「祖国の完全統一」と「中華民族の偉大な復興」から見出されている。習主席は「新中国建国100周年(2049年)に米国を追い越し、世界の最強国になる」と明らかにした。台湾問題に対しては「武力統一の可能性も排除しない」と語っている。
しかし「習主席の『中国の夢』は許さない」という米国がこれをさえぎることで、米中対立が今後激しくなることは火を見るよりも明らかだ。そのようになれば経済・安保の面で韓国は、2大強国間の「火の粉をかぶる」ことが多くなるだろう。すでに韓国は、インフレ削減法(IRA)や半導体装備輸出規制など米国による対中制裁の火の粉をかぶっている。
また朝鮮半島の安保は、さらに深刻な局面に立たされることになる。米中対立の激化は「日米韓」対「中露朝」という新冷戦の対立構図を強め、最大交易国である中国を「北朝鮮を動かすテコ」にしようとしている韓国の戦略は力を失うしかない。むしろ台湾有事時に、在韓米軍投入と台湾支援に加勢することで、中国と対立する関係になるおそれがある。
ユン・ソギョル(尹錫悦)政府は少なくとも5年間、「習主席の独走時代」に向き合わなければならない。修交30周年の中韓関係に暗雲が立ち込めている状況であることから、非常な覚悟をもって生存戦略を立てなければならない。まず、習主席が再選した中国との疎通の窓口を強化するチャンネルをもつことは当然だ。また、米中の間で選択を迫られる瞬間が多くなることに備え、国益次元の実用外交プランをあらかじめ立てておかなければならない。
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