中国はあらためて「米国との戦略的競争において退くことはない」と予告したことで、同盟中心の外交を展開しているジョー・バイデン米政府が自国主導の国際秩序を維持するため、韓国の役割を一層積極的に要請する可能性は高くなった。
韓国の政府系シンクタンク“国立外交院”のキム・ハングォン教授は「中国は今回の党大会で米国に対し直接的な言及はしなかったが、米国に対する間接的な批判を続けた」とし「米中の戦略的競争の構図は激化することになり、米韓同盟を強固にしながら中韓協力を推進していくことが、まるで米国を選んだようにみえることには気をつけなければならない」と語った。
習政権の3期目において、米中対立の最前線であり北東アジア地域の最大懸案である「台湾海峡問題」は最も大きな “変数”である。台湾海峡の緊張状態でもし偶発的な衝突が生じる場合、在韓米軍の投入などにより韓国が巻き込まれる可能性も高まった。最近の米韓・日米韓高位級協議では「台湾海峡問題」が主要なテーマとして扱われている。
また、中国は米国の輸出統制に対し「科学技術の自立」を宣言したことで、供給網と先端技術問題に一層敏感に対応するものとみられる。米国主導のIPEF(インド太平洋フレームワーク)の発足につづき、半導体供給網協議体「チップ4」(日・米・韓・台)が予備会議を開催したことで、これに対する中国のけん制レベルも注目される。このことについてキム教授は「中国が『周辺の国々との協力を拡大する』と明らかにしたことから、われわれは協力の空間を拡大させていきながら、産業供給網安定のため中国の周辺国外交を活用する必要がある」と助言した。
北朝鮮による核ミサイルの挑発を機に中朝間の戦略的協力が強固になる中、朝鮮半島において日米韓との対立戦線が熾烈(しれつ)になるものとみられる。北朝鮮の挑発が強まるほど日米韓の安保協力は強化される名分が生じ、米国の戦略資産配置などに対し中国がけん制に乗り出すしかないためだ。
中朝は党大会を前後して一層密着しているが、中国の朝鮮半島政策は「現状維持」であることから、韓国は状況を綿密に注視し中国からの協力を引き出さなければならない。現在は、尹政府による「北朝鮮の核実験」への対応が試されているところだ。
韓国外国語大学・国際地域大学院のカン・ジュニョン教授は「中韓関係間の問題は、基本的に構造的な問題だけが残されている」とし「われわれの原則を強調しながら、基準点を引き上げなければならない」と助言した。つづけて「中国が韓国に圧力を加えるほど、われわれは米韓同盟を強調し、特に北核問題においては自然に日米韓3か国協力が強化されるしかないため、中国は韓国を強く圧迫しても得るものは多くないだろう」とし「これからは、中国も戦略的に悩むことだろう」と分析した。
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