インタビューに応じる仁川警察広域捜査隊麻薬犯罪捜査係のチェ・スソン警監(左)とチェ・ジョンビン警査(右)(画像提供:wowkorea)
インタビューに応じる仁川警察広域捜査隊麻薬犯罪捜査係のチェ・スソン警監(左)とチェ・ジョンビン警査(右)(画像提供:wowkorea)
「顔が写らないように写真を撮っていただけますか」

チェ・ジョン の最新ニュースまとめ

インチョン(仁川)警察の広域捜査隊薬物犯罪捜査係のチェ・スソン警監とチェ・ジョンビン警査はインタビュー時に丁重に要求した。顔が知られると潜伏や尾行などの薬物事犯の捜査に支障が出るという理由からだ。

麻薬捜査の実態は…潜伏と尾行の連続

チェ警監とチェ警査は麻薬捜査を行ってきた3年間、家族より多くの時間を一緒に過ごした。薬物捜査の特性上、潜伏・尾行・偽装をすることが多いためだ。チェ警監は「家に帰れないことも日常茶飯事」と語り、「家族たちももう理解してくれていることと思う」と笑った。

1600万人の観客動員数を記録した映画「エクストリーム・ジョブ」の作中でも、薬物捜査班が犯罪組織のアジト前のチキン店を買収し、偽装就職をしながら24時間潜伏捜査を行うシーンがある。一部誇張された内容があるが、ほとんどの部分は共感できるとチェ警査は話した。彼は「薬物事犯に関する通報などを収集し、事実関係を確認した後、潜伏・尾行・偽装などの計画を立てて薬物使用者・流通責任者・販売責任者などを順に検挙する」と語り、「薬物の販売責任者1人を捕まえるために、班のメンバー5人が執念で2か月間尾行したこともある」と話した。

近年麻薬犯罪が増え、チェ警監が率いる班はさらに忙しくなった。関税庁によると、2021年に韓国国内に持ち込まれる段階で摘発された薬物類は過去最多の1272キロに及んだ。薬物使用者の若年化も懸念されている。ソウルの薬物類の犯罪統計を見ると、2021年に全体で2590人の薬物事犯のうち、10代と20代が1127人(45.3%)に達している。初犯の割合も75.8%だった。チェ警査は「以前は薬物の流通は知人間の取引が主体だったが、今はスマートフォンを使い誰でも麻薬に近づくことができるようになった」と語り、「体感上も薬物事犯が大幅に増えた」と心配している。警察が最近「麻薬との戦争」を宣言したのも、このような事情からだ。

再犯率の高い薬物事犯…「処罰が全てではない」

チェ警監とチェ警査は先月、虚偽の医療用麻薬の処方を受けて販売供給・誤用・乱用した薬物事犯64人を大量検挙する成果を挙げた。 しかし、彼らが最もやりがいを感じた事件はその件ではない。彼らは1年前、「薬物に溺れた息子を助けてほしい」という両親の切迫した電話を受けた。現場に行ってみると、腕に数十にもおよぶ注射痕がある20代の青年がいた。青年は厳然たる犯罪者だが、彼らは青年をまるで弟のように接した。「病院に連れて行きながらいろいろと本音を話すと、後で涙ぐみながら二度と麻薬はやらないと言っていました。胸が痛かったです」とチェ警査は回想した。青年は懲役刑を宣告されたが、青年と彼の両親は「このような形でも薬をやめることができて感謝する」と話したという。

この青年のような人が少なくないため、彼らは他の刑事事犯とは異なり、薬物事犯には「哀れみ」を感じると話した。チェ警監は「麻薬犯罪は再犯率が非常に高く、処罰を強化したからといってなくなる犯罪ではない」と語り、「一度間違った道に陥った人々を社会に復帰できるようなシステムが機能してこそ麻薬犯罪を根絶できる」と話した。彼は「刑期を満了して出所した人が警察署を訪ねて『薬をやめてしっかり生きている』とあいさつしてくれることもある」と語り、「薬物供給犯と販売犯は最後まで追いかけて罪に問わなければならないが、単純使用者は誰かの助けがあれば、充分に気を引き締めて社会に復帰できる」と強調した。

最高の麻薬根絶策は「教育」だと彼らは口をそろえた。チェ警監は「幼い頃から麻薬の有害性について教えなければならない」と話し、「病院で正常に処方された医薬品でも誤用・乱用すれば犯罪になりうるという事実を知らない場合も多い」と語った。続けて「麻薬は自分でお金を払って自分の人生を台無しにするだけでなく、自分の家族と周りの愛する人々まで苦しませることだ」と警告した。

ソウル警察庁では22日から11月18日までを「新学期校内暴力特別予防活動」期間に指定し、サイバー校内暴力予防と並行して薬物に関する教育を実施する。
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