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しかし、現実は映画よりもさらに残酷だった。映画とは異なり、現実では半地下に住む発達障害者で生活保護受給者を含む一家が命を失った。
8日、ソウル市ドンジャク(銅雀)区サンド(上道)洞では、半地下に暮らしていた50代のAさんが浸水した半地下の家から脱出することができず死亡した。Aさんは生活保護受給者で、正式に障害者登録されていたわけではなかったが、知的障害があった。
同日、ソウル市クァナク(冠岳)区シンリム(新林)洞でも、多世帯住宅の半地下に住んでいた40代の発達障害者のBさんなど一家3人が家の中で死亡した状態で発見された。約10年前からこの半地下に住んでいたという彼らは、水圧で玄関のドアが開けられなくなり孤立した。近隣住民と消防・警察による救助作業もむなしく、惨事を防ぐことができなかった。Bさんの家族も生活保護受給者であることが分かった。
高所得層とは異なり、災害の被害は低所得層にとって致命的だ。一部からは「富める者は車を失い、貧しい者は命を失った」という声も聞かれた。
損害保険協会によると、10日の午後1時時点で被害車両は7678台で、被害額は977億6000万ウォン(約100億円)と集計された。このうち、輸入車の被害額は542億1000万ウォン(約55億5000万円/2554台)で、全体の55.5%を占めた。富裕層が多く暮らすカンナム(江南)地域に降った集中豪雨により、フェラーリやポルシェなどの高級輸入車が浸水して被害額が大きくなった。
低所得層はほとんど全てを失ったと吐露する。集中豪雨が降った銅雀区に住むCさんは「兄がこの町の半地下に住んでいたが、豪雨によって住居が浸水して、私の家に避難してきた」と話し、「人命被害はないが、財産被害があまりにも大きくて目の前が真っ暗になる」と話した。冠岳区新林洞に住むチェさん(70)も、「一帯がほとんど水に浸かった。家電製品はすべて使えなくなり、車も廃車にしなければならない」と語り、「残ったものが何もない」と話した。
ソチョ(瑞草)区のある多世帯住宅が浸水し、住む場所を探し回っているというキムさん(30)の家族は、「すべてが浸水し、目の前が真っ暗だ。区役所に問い合わせしても、いつ、どれほど被害を復旧してくれるかは分からない」と吐露した。キムさんは「被害があまりにも甚大で耐え難い」と話し、「近いうちに今よりさらに狭くて家賃が安い場所に引っ越す計画」と話した。
「災害が不平等を反映…政府が積極的に補償・対応すべき」
貧しい者を真っ先に襲うのは豪雨だけではない。全世界を襲った新型コロナウイルスも低所得層の死亡率が相対的に高くなることが分かっている。
健康保険公団によると、2020年1月から今年5月までの新型コロナウィルスによる死者971人のうち、所得下位20%の死者数は322人(33.2%)で、所得上位20%の死者166人(17.1%)よりも2倍ほど多い。
所得下位10%に絞って見たデータでは、所得下位10%の死亡者数(199人)は所得上位10%の死亡者(93人)の2倍を超える。所得の不平等が健康の不平等につながったわけだ。同じように感染しても低所得層では経済的事情により仕事を休めなかったり、治療を受けられなかったりしたためだ。
専門家は政府レベルでこのような状況を打開しなければならないとみている。災難に対して被害を受けやすい階層のための災害保険を国家と民間が共同で開発し、災害時に実質的な補償と賠償を受けられる政策的支援が必要だという意見も出ている。ソウル女子大学社会福祉学科のチョン・ジェフン教授は「災害の結果は不平等を反映している」とし、「災害で被害を受けた低所得層を政府が積極的に補償すべきで、何よりもまず災難による被害を予防することが重要だ」と語った。
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