ムーディーズ「韓国の国家債務は先進国より低いが、家計負債は最高」(画像提供:wowkorea)
ムーディーズ「韓国の国家債務は先進国より低いが、家計負債は最高」(画像提供:wowkorea)
米国の格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは21日、韓国の国債格付けを「Aa2」とし、格付け見通しを「安定的」に据え置いた。ムーディーズは、増え続ける家計負債と速いスピードで進んでいる高齢化が、経済成長を抑えかねないと警告した。

 ムーディーズは韓国にAaa、Aa1に続く3番目に高いAa2と格付けした理由について、「多角化された経済構造と高い競争力を基盤に、今後も韓国経済の堅調な成長が見込まれる。高齢化のような中長期的なリスクに対する制度的な対応力も反映した」と説明した。

 同社は、世界的な景気減速や、ウクライナ戦争などに伴うエネルギー価格の上昇にもかかわらず、韓国経済は半導体の好調や民間消費の回復に支えられ、緩やかに成長するとの見通しを示した。今年の経済成長率見通しは先月と同じく2.7%になるものと予想した。

 同社は韓国が今後数年間、2%台の成長を続けるとの見方を示した。韓国は優れた革新力や競争力を備え、デジタル・グリーン経済への移行に努力している。同社はこうした効果が、韓国の高齢化や家計負債のような潜在成長率の低下要因を相殺していると判断した。

 韓国の高齢化については、韓国の生産可能人口が2020年から2040年の間に23%減少するという国連の見通しを紹介し、高齢化が「生産性の増大と投資が重荷となり、財政に圧力として働くだろう」と警告した。

 続けて「高齢化による費用増加で、国家債務が高い水準を維持するだろう。韓国政府は増加する支出を充当するために、財政赤字を減らして輸入を拡大するような具体的方策をまだ示していない」と指摘した。

 ただ「財政負担はコントロールできる水準だ。現在、韓国の国家債務比率は他の先進国(約56%)に比べて低く、資金調達リスクも低い」と説明した。

 家計負債については「韓国の家計負債は、昨年第3四半期の国内総生産(GDP)の106.5%だ。先進国の中で最も負債の多い国々と同様のレベルになった」と述べた。その一方で、「高所得者の高い借主比率、低い住宅ローン比率(LTV)などは、家計負債リスクを緩和する要因だ」と付け加えた。

 同社は、韓国の地政学的リスクについて、「短期間で発生する可能性は少ないが、今後の格付けに負担要因になる」と指摘した。最近、北朝鮮でミサイル発射実験が繰り返し行われていることについては「緊張感は過去に比べて低い」と述べた。

 同社は韓国の格付けを引き下げかねない要因として、国内外の衝撃による潜在成長の構造的き損、政府財政の悪化、地政学的リスクの高まりを挙げた。上向き要因としては、潜在成長の向上と高齢化克服のための経済や構造改革、朝鮮半島での戦争の脅威が減り地政学的リスクが緩和することを示した。
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