18日午前、ソウル城東区のある飲食店の前に貼り出された「アルバイト急募」の案内文(画像提供:wowkorea)
18日午前、ソウル城東区のある飲食店の前に貼り出された「アルバイト急募」の案内文(画像提供:wowkorea)
「ソーシャルディスタンス解除ですか。もちろんうれしいですよ。これまでしょっちゅう変わる営業時間を守るために疲れました。これから状況を見ながら働き手を探さなければなりません」

20日午前、ソウル市ソデムン(西大門)区で焼肉屋を営む50代のAさんの顔には久しぶりに笑みが浮かんだ。慌ただしくテーブルを拭きながらお客さんを迎える準備の真っ最中だった彼は、「自由に営業することがこんなに難しいとは思わなかった」と話し、「これからは深夜のお客さんも団体のお客さんも思う存分受け入れることができてうれしい」と笑った。

ソーシャルディスタンスを全面解除…あちこちで「アルバイト急募」

2年ぶりに新型コロナウィルスまん延前の日常に戻った。韓国政府は今月18日からマスク着用を除くすべての防疫措置を解除した。これによって私的な集会の人数制限がなくなり、午前0時までだった大型マートやスポーツ施設の営業時間制限もなくなった。今月25日からは映画館など室内の施設でも飲食が可能になる。

これまで自営業者は借金をして人件費を減らし、営業制限など防疫指針に耐えてきた。そんななかで廃業する人も少なくなかった。国際通貨基金(IMF)危機にも耐え、60年の伝統を守ってきた「西大門元祖炭火豚カルビの樽酒屋」、50年の伝統を誇ったミョンドン(明洞)の有名飲食店「チョンジュ(全州)中央会館」など、ソウル市内の老舗(しにせ)も多数営業を終えた。

この2年間借金をしてかろうじて持ちこたえた自営業者たちは、今や新型コロナ禍以前の日常に戻り、アルバイトなど人手を増やし、売り上げの回復に向けて動き出した。

この日、ソウル都心の繁華街の店舗の入口には「アルバイト急募」などの張り紙をたくさん見つけることができた。ソウル市ソンドン(城東)区のチキン屋で働く40代のイさんは、「2年間大変だった。これまでに受けた被害は一気に回復することはないが、少しは良くなると思う」と語り、「2人ほど働き手を雇おうと思う」と話した。求人・求職プラットフォームサイトの「アルバ天国」に今年3月に掲載された求人件数は前月に比べ5.2%増加し、今月も増加傾向が続く見通しだ。アルバ天国の関係者は「求人公告の件数が前年同期に比べて着実に増加している」と話した。

ただ、完全な回復まではまだ時間がかかるという見方もある。2021年11月に「ウィズコロナ」を試みたが、新型コロナウィルスの感染急拡大に再びソーシャルディスタンスが強化されたことを経験した自営業者の間では、ひとまず様子をうかがうという声も出ている。

24時間営業を中止していたソウル西大門区のあるクッパ屋の店員は、「今後どうなるか分からないので、しばらくは様子を見ながら営業時間の延長は今後決める」と話した。近隣で16年間ホルモン屋を経営している50代のイさんも、「常連客がすでにいなくなっているため、今のところそれほど大きな期待はしていない」とし、「ホールとキッチンにスタッフ3人以上が必要だが、これまで新型コロナによる被害が深刻で、今後どうなるか分からず、しばらくは夫婦二人でやっていこうと思う」と話した。

カラオケ業界も同様の状況だ。韓国カラオケ協会のキョン・ギソク会長は、「2次会文化がいつ頃以前のように戻るか疑問だ」と語り、「当面はどうなるか分からないので、アルバイトを雇うかどうか悩んでいる」と話した。

防疫当局はソーシャルディスタンス解除によって感染への警戒心が緩むことに警戒している。中央事故収拾本部のソン・ヨンレ社会戦略班長は、「ソーシャルディスタンスの解除によって防疫の緊張感が緩み、完全な日常に向かう雰囲気が強まることが懸念される」とし、「ソーシャルディスタンスの解除が新型コロナウィルス流行の終息を意味するものではないという点を肝に銘じてほしい」と強調した。
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