韓国の李在明 次期大統領選候補と尹錫悦候補はそれぞれ「“帝王的大統領制”の弊害を正す」と公に約束した(画像提供:wowkorea)
韓国の李在明 次期大統領選候補と尹錫悦候補はそれぞれ「“帝王的大統領制”の弊害を正す」と公に約束した(画像提供:wowkorea)
韓国与党“共に民主党”のイ・ジェミョン(李在明)次期大統領選候補と野党第一党“国民の力”のユン・ソギョル(尹錫悦)候補はそれぞれ「“帝王的大統領制”の弊害を正す」と公に約束している。このような2人の候補の約束は、これまでの大統領選の全過程を通して最も注視すべき事柄ではないかと思う。

まずイ候補は今月14日「首相の国会推薦制を導入し、首相に閣僚推薦権など憲法上の権限を実質的に保障する」と語った。名実ともに「責任首相制」を通して、大統領に集中している権限を分散するということである。

またイ候補は「任期内の改憲を推進する」とし「地方政治の強化・監査院の国会移管など、大統領の権限を分散すべきだ」という見解も明らかにした。

一方ユン候補も、同じような脈絡の公約を掲げた。去る13日に中央選挙管理委員会に提出した10大公約に「帝王的大統領制の残滓(ざんし)を清算し、国政運営の効率性を引き上げる」とし、さらに「大統領室の改革」構想まで盛り込んだ。これらを実行していく法案も比較的具体化されている。「大統領室は政府ソウル庁舎に移転し、これまでの青瓦台(韓国大統領府)の敷地は、世論を集め活用案を講じていく」ということである。

「帝王的大統領制」の手直しに関する両候補の意志も、確固たるものとみられる。イ候補は「制度改善のための改憲に役立つのであれば、必要なだけ任期の短縮を受け入れる」という意志を宣言した。ユン候補も「執権すれば、任期初年度に政府の組織改編に着手し、大統領室の移転を終える」という履行ロードマップを提示した。

大統領に付与された権限の過度さとその弊害は、これまで数えきれないほど取り沙汰されてきた。しかしそれはその場限りで、制度に手を加える政権はこれまでなかった。パク・クネ(朴槿恵)前政権は「責任首相制」を約束していたが、全く守られることはなく、ムン・ジェイン(文在寅)政権も「クァンファムン(光化門)の政府庁舎で執務する」という約束を破った。現在イ候補とユン候補は、投票箱のふたが開けられるまで誰もその結果は予測できない血みどろの接戦を繰り広げている。それこそ「超薄氷」の様相である。しかしはっきりしていることは、誰が当選しても「政治改革」と「帝王的大統領制の改善」はいまやこれ以上先延ばしすることができなくなった。

ちょうど選挙管理委員会の候補登録が終わり、きのう(15日)から大統領選の公式選挙運動期間に突入した。勝負の行方が霧の中にあるため、両候補間のネガティブ・ポピュリズム合戦が激しくなる可能性は濃厚だ。今回の大統領選は、外国メディアさえも「耐えがたい」という表現を使うほど「過去最悪の非好感選挙だ」という酷評を受けている。

残り20余日という期間、相手をこき下ろすよりも大統領制の弊害改善案のように、政治・経済・社会の各分野におけるビジョンと政策により、毅然とした姿勢で臨めば、民心の選択を受けるだろう。真剣勝負はこれからということだ。

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