韓国政府の今回の防疫システム転換措置は、現在の状況から避けられない側面がある。問題は、事前の告知と準備を十分にしていない状態で、見切り発車の措置を取ったため、深刻な副作用が懸念されるという点だ。防疫と医療現場では、すでに混乱が起きている。政府は体に異変を感じた人は、町内の病院や医院で電話相談と診療を受けられるとしているが、それを各個人で行うことは難しい。電話をかけたところで、「まだ準備はできていない」という言葉しか返ってこない。薬局やオンラインショッピングサイトで自己検査キットを購入できるというが、品薄になっているためそれも難しい。政府が緊急対応に乗り出したということで、このような混乱が早く収まることが期待される。
さらに懸念される影響は、低所得、無所得層をはじめとする社会的弱者の被害だ。セルフ防疫では、自己検査キットの購入や医療機関の利用にかかる費用を、各個人で支出する必要がある。セルフ防疫の最も重要な手段である自己検査キットは、使い切りのため、複数必要になる。ところが、1個当たりの価格が約1万ウォン(日本円で約千円)で、製品や販売先によって違うため、社会的弱者には大きな負担となる。ただでさえ雇用縮小などで、コロナ二極化の被害を受けている社会的弱者にセルフ防疫費用が追加で発生するわけだ。政府は早急に社会的弱者への支援を拡大する対策を立てる必要がある。
このほか、低所得、無所得層以外にも未登録の外国人をはじめとする盲点となっている社会的弱者が多様に存在する。これを放置しておけば、セルフ防疫による被害者が発生するだけでなく、防疫ネットワークに穴が開く可能性もある。セルフ防疫が、各自が生き残る方法を探すことだけになってはいけない。きめ細かい弱者への支援が求められる。
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