物価高は韓国だけの現象ではない。経済協力開発機構(OECD)加盟国38ヵ国の昨年12月の物価上昇率は6.6%と、1991年7月以降30年ぶりの高上昇率となった。年間上昇率も4.0%と、21年ぶりに最高値を記録した。新型コロナウィルスへの対応策で供給された大規模な流動性とグローバルなサプライチェーンの停滞とが重なり、物価を押し上げたためだ。
しかし、韓国の状況は固有のものだ。物価高に対応する手段がほとんど見当たらない上、これに打ち勝つ体力が極度に弱まっているためだ。金利引き上げは家計と企業の莫大(ばくだい)な利子負担の増加につながり、実質購買力の低下と収益性の悪化をもたらし、景気萎縮(いしゅく)を招く。かといって物価上昇を容認すれば安定基調が崩れ、国家信頼度にも悪影響を与える恐れがある。2か月連続で巨額の赤字を出した貿易収支と、史上初めて4年連続で数十兆ウォン台の赤字を出した統合財政収支は、ウォン相場や国家信頼度に少なからぬマイナス要因として働くことは明らかだ。
このような現状の中、与野党は先月、14兆ウォン(約1兆3000億円)規模の補正予算案の増額を国会に要求している。この予算の使途として自営業者への支援を掲げているが、国の経済の先行きを心配するなら、正常とは言えない要求だ。企画財政部は憲法上の権限を行使し、この無分別な予算の増額を阻止しなければならない。たとえ経済安定に総力を注いだとしても、天文学的規模の資金が一気に流入すれば癒(い)えることのない後遺症に見舞われかねない。
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