韓国ソウルできのう(10日)の午後3時50分、大型スーパー“イーマート”ヨンサン(龍山)店の入り口で15人ほどが列を作り立っている中、焦った保安職員の声が聞こえてきた。高齢者夫婦がQRコードの認証機を素通りしようとしたことで、保安職員がさらに大きな声をあげた。
「すみません、QRコードの認証をしなければお入りになれません」
入り口で立ち止まった高齢者夫婦は、まわりを意識したように保安職員にささやき「ワクチン注射は接種しているよ」と幾度も伝えた。保安職員は「QRコードの認証するか、接種証明書でも見せてほしい」と繰り返し求めたが、高齢者夫婦はQRコードが何なのかも知らないようで、困惑した表情を浮かべた。この夫婦は「接種証明書は持ってこなかった」ということを繰り返すだけだった。
至る所で「QRコードの認証はどうしたらいいのかわからない」という声が聞こえる。場内がざわめく中、ある人は「きょうだけ、そのまま入ってもいいでしょう」と声をあげた。職員たちにそのまま携帯電話を渡し「かわりに接種記録を呼び出してほしい」とお願いする人もいるかと思えば「ここは共産主義の国なのか」と激怒する人もいた。保安職員は顧客たちの顔色をうかがい、全ての対話の最後には「お願いします」と付け加えていた。
韓国で、面積が3000平方メートル以上の大型スーパーや百貨店に対し「防疫パス」(新型コロナウイルス感染症ワクチン接種証明・陰性確認制)が適用された初日のこの日、売場の入り口では顧客と職員たちの間で押し問答が繰り広げられる光景が至る所でみられた。接種情報をいちいち確認するため入口前にはいつしか長蛇の列ができ、入場するのに10分以上かかった。通常であれば大勢の顧客が来ても2~3分ほどで十分入場できていた場所である。
特に携帯電話の使用に慣れていない高齢者たちにとっては、防疫パスの壁は高かった。入口前で眼鏡をかけ30分以上携帯電話と格闘しながら、接種証明書を呼び出そうとする高齢者たちがひときわ多かった。
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