これまでに掲げてきた政策路線を修正したにもかかわらず、支持率が逆に上昇する結果になったのだ。野党は「話が変わった」と攻勢しているが、国民には応援され、時には相手陣営からさえも認めると感心される岸田首相のリーダーシップの秘訣は果たして何だろうか。
最近になって岸田首相は新型コロナ対策を提示した後、対策内容を覆している。まず、新たな変異株であるオミクロン株が拡散して日本への入国を全面禁止しようとしたが、日本人や長期滞在資格のある外国人の入国は許可する方向に方針を変えた。出国している日本人は帰国できるようにすべきだとの批判を受けると「在外国民の帰国需要に十分配慮する」として譲歩したのだ。
これをめぐって、野党第一党の立憲民主党側は「岸田首相の統治能力不足」と猛攻撃に出た。しかし、世論は岸田首相の味方だった。むしろ「この時勢に外出した人々にまで配慮しなければならないのか」とし、政府は従来の方針を推し進めるべきだという声も力を出ている。
それだけではない。18歳以下の青少年らに対して1人当たり10万円を支給する案を巡って、話を変えた。当初の計画は現金とクーポンをそれぞれ5万円ずつ支給するというものだったが、年内に現金で10万円を一括支給する方式に変更したのだ。クーポン支給にかかる行政費用だけでも967億円で、現金支給方式(280億円)の3倍を優に超えるという不満を受けているからだ。
このように政策を出した後で出た批判によって話を変える姿にも、岸田内閣の支持率は上がっている。毎日新聞が18日(きのう)付で実施した全国世論調査によると、岸田内閣の支持率は54%で、先月の調査時よりも6%ポイント上昇した。新型コロナ対策を高く評価するという回答も46%に達し、「低く評価する(26%)」という回答を大きく上回った。新型コロナ以後、40%以上の国民から新型コロナ対策が好評だった首相は岸田首相だけだ。
このような支持率上昇の勢いは、野党でも認めざるを得ないという雰囲気だ。17日に開かれた2021年度参議院予算委員会で岸田首相が低姿勢を維持した姿はこれをよく表わしている。鋭い質疑にも「きちんと検討する」と野党の立場を理解しようとする態度で一貫したが、これは野党の追及に真顔で反論した安倍元首相や国語の本を読んでいるような菅前首相と対比される印象を与えたという評価だ。
ある幹部は東洋経済新聞に「すぐに頭を下げる岸田首相みたいな人たちは本当に攻撃しにくい」と苦笑した。通常、激しい論争が続き、感情的な対立に発展しかねない線をぎりぎりまで行き来する予算委員会が異例にも“極めて平穏で日程通りに進むという異常な状況が起きている”という評価も出ている。
支持率上昇の秘訣としては“聞く力”が挙げられる。これは岸田首相が候補時代から強調した自分の強みでもある。今回の衆議院総選挙で躍進した大阪基盤の日本維新の会所属のある幹部は「(聞く)“耳”を持たなかった元首相と“耳”を持つ岸田首相の違いが浮き彫りになり、しっかりした支持率につながっている」と診断した。政治評論家たちも「共感能力をアピールする岸田首相の姿は現在の国民感情とも相性がいい」と舌を巻くほどだ。
相手の言葉に耳を傾けて「話を変えた」という批判を甘受してもうなだれる姿勢に日本の有権者は歓呼している。「政治家は半歩だけ先に進まなければならない」という金大中(キム・デジュン)元大統領の忠告をもしかしたら隣国の岸田首相が実践中なのかもしれない。
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