CPTPPはドナルド・トランプ前米大統領がTPPを脱退した後、日本を主軸としてオーストラリアとカナダなど11か国が2018年に発足させたものだ。この11か国の貿易規模(2019年基準)は5兆7000億ドルで、世界貿易額の15.2%を占めている。関税撤廃率は最大96%ほどで、市場開放度が高い。またこれは、韓国の総輸出額の23.2%・総輸入額の24.8%を占めることから、交易での重要性は大きい。
「貿易」が生命線となっている韓国が、人口6億9000万人の巨大経済ブロックであるCPTPPに後発走者として加入を推進することになった背景には、覇権競争を繰り広げている米中対立が立ちはだかっていた点がある。
CPTPPは、現在議長国となっている日本が最初に主導し、米国がそれに参加することで中国をけん制する構図であったため、韓国としては慎重なアプローチが必要であった。しかしその後トランプ政権が脱退し日本が主軸となったことで、韓国政府はCPTPPのかわりに中国の主導するRCEP(地域的な包括的経済連携協定)を選択し、昨年11月に加入した。
ところが状況は急変した。最近CPTPPに中国と台湾が加入申請をし、ジョー・バイデン米政権が発足した米国でもCPTPPへの復帰論が出るなど、米中対立を越えた戦略的・実利的選択をしなければならない局面へと変わったのである。
韓国がCPTPPに加入すれば、中国への貿易依存度は低くなり、通商舞台を拡大させることにおいて非常に効果的となる。韓国は、サード(THAAD:終末高高度防衛ミサイル)に関する報復や尿素水不足事態などを経験したことで「チャイナリスク」を実感している。しかしアジア・太平洋地域中心の巨大供給網をもつようになれば、このようなリスクの対策を講じることができる。また、日本やメキシコとFTA(自由貿易協定)を締結する効果も期待できる。
加入の推進が遅かっただけに、韓国政府は11か国の加盟国の同意を速やかに取り付けるための外交的努力に力を注がなければならない。特に議長国である日本は、福島の農産物輸入禁止により韓国の加入に友好的でないことから、交渉力が必要となる。
韓国はそれとともに、貿易開放の影に置かれた脆弱(ぜいじゃく)業種への対応が今後の課題である。CPTPPにはオーストラリア・チリ・カナダなど農業強国が多く、韓国の農漁業分野の被害が避けられないことから、実効性のある補償と代案により農畜産業界の説得に乗り出さなければならない。単純な補助金よりも、むしろ韓国の農産物の海外販路を確立させる機会とする戦略が切実である。大統領選を控える中、各界の多様な欲求と理解が飛び交うことが予想されるが、ひとえに国益を中心において社会的合意点を見いださなければならないだろう。
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