企業は今のところ消費者に原価負担を転嫁していないが、徐々に製品価格に反映する可能性が高まっている。ウィズコロナの開始、防疫指針の緩和による需要の増加が期待されるためだ。
消費者物価は騰落しているが、輸入物価、生産者物価は急騰傾向を見せている。韓国銀行によると、輸入物価はウォンベースで9月に26.8%上昇した。08年11月に32%上昇して以来、12年10か月ぶりの高水準だ。過去3か月連続で20%前後上昇している。
これは原油価格の急騰やウォン安の影響だ。韓国の主な輸入先であるドバイ原油の現物価格は1バレル80ドル前後から下がっておらず、今年に入ってから55.7%も急騰した。ウォン・ドル為替相場は6月以降右肩上がりの様相を示しており、ウォン相場はドルに比べ年初に比べ約9%下落した。
生産者物価は7~9月期に7%台の上昇率を見せている。生産者物価指数の国内出荷製品と輸入品を含めた国内供給物価指数のうち、原材料や中間材は3か月連続でそれぞれ40%台と10%台の上昇率を示している。それに比べ、完成品は3か月連続で2%台の上昇率にとどまった。原材料や中間財が値上がりしたのに比べて完成品の値上がり率が少ないのは、輸入・生産者物価の上昇傾向を考慮すると消費者物価は高くないと考えられる。これは今後、消費者物価の上昇の勢いが増大しかねないことを示唆している。韓国銀行の分析によると、原材料や中間財の上昇率は、消費者物価にそれぞれ5か月と3か月後に反映される。
各企業の原価負担は日増しに大きくなっている。原材料価格の上昇やウォン安のほか、港湾物流の停滞など、世界の供給網のボトルネック現象が長期化しているためだ。韓国銀行によると、製造業の原材料購入価格心理指数(BSI)は、10月に144と年明け以降27ポイント上昇した。一方、製品販売価格心理指数は112と16ポイントの上昇にとどまった。これは原価負担を製品価格に反映できていないことを意味する。この影響を受けてか、製造業の採算性心理指数は85で、昨年末の86と比べて大きく差はなかった。基準ポイントである100より低く採算性が「悪くなる」と回答した企業の方が、「良くなる」と答えた企業より多かった。
港湾物流の停滞が長引くと、空輸で製品を輸入しようとするため輸送費も急騰している。コンテナ運賃指数(SCFI)は9月に4590と史上最高値を記録し、1年前より230.2%上昇した上、航空貨物運賃指数(TAC)も、中国上海で米国路線基準で135.7%も上昇した。韓国銀行の関係者は「航空貨物の場合、船便と比較して輸送できる物量が少なく運賃がはるかに高いが、輸送量が増加した影響で運賃がさらに上昇している」と説明した。
企業各社の累積された原価負担が徐々に製品価格に転嫁される兆しを見せている。統計庁によると、食料品およびエネルギーを除くコア物価は、今年に入って3月までは0%台の上昇率だったが、5~7月に1.2%、8月に1.3%、9月に1.5%、10月には2.4%と急騰した。15年12月の2.6%以来5年11か月ぶりの高水準だ。一方、食料品やエネルギー指数の上昇率は、5月に8.0%を記録したが、7月7.9%、8月7.7%、9月6.1%、10月5.9%と上昇率が下降した。コア物価の上昇は需要面での物価上昇の圧力が強まっていることを意味する。
農産物価格は2か月連続で下落し、農畜水産物の価格は10月は0.2%の上昇にとどまったが、これまでに急騰していた農産物価格が加工食品の上昇につながっている。加工食品は10月に3.1%上昇し、14年11月の3.3%の上昇以来6年11か月ぶりの高値だった。外食費が2か月連続で3%台の上昇を記録するなど、サービス価格指数は3.2%上昇した。サービス価格指数の上昇率は09年2月の3.4%以来最高だ。ウィズコロナが本格化し、サービス価格などの物価はさらに上昇する可能性が高い。
金融通貨委員会も物価上昇が長期化する可能性を懸念している。
ある金融通貨委員は先月12日の定期会議議事録で、「現在物価上昇が供給だけでなく需要圧力にも相当影響を与えているため、政策判断時にこうした側面を勘案する必要がある」とし、「需要側の要因が予測より大きければ、物価圧力が長期化して期待インフレ率が上昇し、これによって物価がさらに上がる二次波及効果が起きる可能性も少なくない」と指摘した。
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