「済州島・保育士殺人事件」、再び振り出しに…元タクシー運転手に無罪確定=韓国(画像提供:wowkorea)
「済州島・保育士殺人事件」、再び振り出しに…元タクシー運転手に無罪確定=韓国(画像提供:wowkorea)
2009年にチェジュ(済州)島で発生した20代保育士殺人事件の犯人とされ裁判を受けてきた元タクシー運転手に、最高裁判所で無罪確定判決が下された。裁判所は検察が提示した主な証拠の大部分に対し、「有罪の証拠とはならない」と判断した。捜査は再び振り出しに戻ることとなった。

最高裁判所は28日、強姦(ごうかん)殺人の容疑などで起訴された元タクシー運転手、パク被告に対し、検察の上告を棄却し無罪を宣告した原審を確定した。

2009年2月に済州島で発生したこの事件は、長期未解決事件だった。被害女性Aさんは2009年2月1日未明に恋人の家から出た後に行方不明となった。家族の通報により捜査に乗り出した警察は、同月6日にAさんの所持品を発見したことに続き、8日には数十キロメートル離れた地域の排水路でAさんの遺体を発見した。解剖の結果、死因は首を絞めたことによる窒息死だった。

警察は事件直後、行方不明となった地点の付近でタクシーを運行していたパク被告を有力な容疑者とみて捜査を進めた。DNAなど犯罪を立証する直接的な証拠を確保できなかった警察は、解剖結果の結果、被害者の死亡時刻が発見から24時間以内である2月7日以後と推定し、パク被告に対する捜査を事実上中断した。

未解決のままだった事件は、2016年の再捜査の過程で、被害者の死亡時刻が行方不明当日である可能性があるという動物実験および鑑定結果が出たことで進展した。パク被告は2009年の捜査直後に済州島を離れ、全国を転々としていた。警察はパク被告に対する再捜査に着手し、検察に送致した。

検察は2019年1月にパク被告を拘束状態で裁判にかけた。パク被告が泥酔したAさんをタクシーに乗せた後、強姦を試みたものの、Aさんが抵抗したため殺害したというのが検察の判断だった。直接的な証拠を確保できなかった検察は、法定でパク被告の当日の動線と、パク被告と被害者の服から発見された微細な繊維などを犯行の証拠として提示した。パク被告は捜査と裁判の過程で容疑を強く否認し続けた。

しかし裁判所は検察が提示した証拠だけではパク被告の犯行を認定することはできないと判断した。検察が有力な証拠として提示した微細な繊維についても、「大量生産されている繊維であり、同色の繊維が検出されたという理由でこれをパク被告と被害者の服から出たものだと断定することはできない」と判断した。

さらに、被害者をタクシーに乗せたという事実も認定することはできないというのが裁判所の結論だった。2009年の捜査当時、別のタクシー運転手が事件当日にAさんが行方不明となった地点の付近で20代の女性を乗せ、Aさんが勤務する保育園の近くで降ろしたという点などを根拠に挙げた。
Copyrights(C) Edaily wowkorea.jp 85