時は2018年にさかのぼる。Aは被害女性Bさんと結婚する前の2003年6月Cさんと結婚生活を始めた。
AとCさんは円満な夫婦生活を送っていたが、16年間子どもに恵まれなかった。
Aは悩んだ末、2018年9月にブローカーを通じてキョンサンナムド(慶尚南道)に居住する脱北者のBさんを紹介してもらい、代理母契約を結んだ。
当時Aは、Bさんが無事に出産したら1億ウォン(約970万円)を渡す約束をして偽装結婚を始めた。これに不安を感じたBさんが、Aの法的配偶者として自分を記載するよう要求し、AはCさんを説得して2019年4月に協議離婚した。その約1か月後、AはBさんと婚姻届を提出して法的に夫婦となった。
AはBさんと結婚生活を維持するつもりはなかった。Bさんが出産さえすればCさんと再び一緒になるつもりだった。
さらに不安を感じたBさんは、Aと生活する様子などを撮影してCさんに送るなど、仲を引き裂こうとしたが、この問題でAとけんかをすることが多くなった。そこでAはBさんを暴行して全治2週間のけがを負わせていた。
Aは、Bさんとの結婚生活を続けられないと判断し、暴行や離婚など示談金名目で9000万ウォン(約875万円)を渡して2019年8月に離婚。
その後、AはCさんと再び婚姻届を提出し、Bさんに自宅を空けるよう要求すると、BさんはAを性的暴行で告訴した。
Aは1審で無罪を主張したが受け入れてもらえなかった。むしろ過ちを認めず弁明を一貫していると量刑に不利に作用して2年6か月の実刑を言い渡された。
しかしAはあきらめなかった。すぐに控訴し、7か月間の法廷での争いの末、ことし6月16日に無罪を獲得したのだ。
2審裁判部のクァンジュ(光州)高裁チョンジュ(全州)裁判部第1刑事部は、Aと被害者の関係、防犯カメラの映像による客観的事実と符合しない被害者の証言など、様々な状況を考慮してAの証言に信ぴょう性があると判断した。
提出された証拠をすべて詳しく調べた結果、Bの証言が虚偽の内容だという証拠が次々に明らかになった。
キム・ソンジュ部長判事は、「被害者自ら被告人から性的暴行に遭い、その後、被告と共に歩き回れないと証言しながら、防犯カメラの映像など証拠資料により被害者と被告人が一緒に買い物をしたり、カフェなどに行ったりする様子が確認された。また被告人の刑務所まで訪れて金を要求するなど被害者としてあり得ない行動を見てみると、被害者は被告人との性関係を性的暴行だと告訴し、示談金名目で被告人から相当の金額を受け取ろうという目的でこの事件の告訴に至ったとみられる」と示した。
続けて「したがってこの公訴事実に対して犯罪の証明がない場合に該当し、無罪と判断するべきで、原審はこれを有罪と認めた過ちがある。事実誤認および法理誤解の過ちがあったことを主張する被告人の控訴には理由があることにより、原審判決を破棄して無罪を言い渡す」と量刑理由を説明した。
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