2日間続いたデモは店舗の占拠など、従来のストライキにみられた極端なパフォーマンスはなかった。しかし、スターバックスのネームバリューがあってか、メディアの爆発的な関心を集めるのには成功し、少なからず社会的波紋を残した。
こうしたデモの効果は即座にあらわれ、デモの要因となったグッズイベントが、ひとまず延期となった。
韓国メディアの韓国日報は8日、スターバックス・コリアが、トラックデモにまで拡大した社員の処遇改善要求を考慮し、毎年行っていた最大規模のグッズイベントである「冬のeフリークエンシー」を2週間後に延期すると報じた。
流通業界によると、スターバックスは前日夜、社内掲示板に、イベントを2週間延期すると告知した。スターバックスは先月28日に行ったプレゼントイベントで、売場従業員の疲労感が高まり、過度なマーケティングによる不満がトラブルであることが分かったため、日程を延期したものと見られる。
一方では、スターバックスのトラックデモは、親会社のEマートに向けられたものという意見も出ている。
経済紙のマネートゥデイは5日、これまで合弁法人であったスターバックス・コリアが、Eマートの買収を機に、積もっていた従業員の不満が一気に出たものと報じた。
新世界グループのチョン・ヨンジン副会長の主導で、Eマートがスターバックス・コリアを買収してから2か月後のことだ。親会社のEマートには労組があるが、今回のデモを機に、スターバックスにも労組ができるかどうかも関心事だ。
ただ、今回のデモは、これまでの労組が中心となったデモではなく、従業員が自発的に集まり、計画したものだ。スターバックスの従業員が、新しいデモのスタイルを提示した形となり、企業に対する今後のデモに、何かしらの影響を与えるものとみられている。
9日、ソウル新聞によると、今回のデモは従業員らが会社員匿名コミュニティ「ブラインド掲示板」を利用し、人や資金を集めたという。スターバックス・コリアには労組がないので、 ストライキのような団体行動をおこす権限がないだけでなく、従業員の不満を一点に集める求心力もない。 そのため、従業員はブラインド掲示板の中で相談し意見をまとめ、自主的にトラック2台を借りるための資金330万ウォン(約31万円)を集めた。資金を集めるのに3時間しかかからなかった。
こうした中で、組合員数110万人、韓国最大の労働団体である民主労総が、スターバックスの従業員側に連帯を提案した。しかし、民主労総はきっぱりと断られたという。
デモを計画した従業員の代表は、「私たちはあなたたちが必要ではなく、私たちは労組ではない」とし、「スターバックス・コリアは労組がなくても22年間飲食業界をリードし、従業員に愛社精神と誇りをもたせてきた企業だ」と答えたという。
これまで、韓国政府から良質の雇用を創出する企業として数々の賞を受賞し、これを積極的に広報してきたスターバックス・コリアだった。しかし、いざその中で働く従業員の低賃金労働、低い処遇などについてはそっぽを向いてきた。「従業員は会社を出た瞬間、一人の顧客だ。利害関係者として尊重と配慮が必要」(淑明女子大経営学部のジョ・ヨング教授)という指摘の通り、スターバックス・コリアが今回の事態を通じて、人事制度を改善すべきだという要求が強まっている。
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