北朝鮮に拉致された夫の帰りを待ち続けた妻が、夫との再会の願いをかなえられないまま自らの命を絶った。巨済警察署が28日に明らかにしたところによると、27日午後、慶尚南道巨済市に住む70歳の女性が自宅で服毒自殺を図り、死亡しているのを家族が発見した。
 この女性の夫は漁業を営んでいたが、1972年に操業を終え帰港する途中で北朝鮮の警備艇により拉致された。女性は生涯夫の帰りを待ち続けていたが、息子の話によると、昨年10月に統一部と大韓赤十字社から「夫は死んだ」という通知を受けて以来ひどく落ち込み、生きる望みを失っていたようすだったという。女性は22日にソウルを訪れ、統一部が北朝鮮拉致被害者補償法施行令に関する公聴会を妨害した被害者家族らを検察に告訴したことに対する抗議デモに参加していた。

 拉北者家族会の崔成竜(チェ・ソンヨン)代表は聯合ニュースの電話取材に対し、こうした悲劇が繰り返されることがないよう、南北首脳会談では政府が拉致問題に言及し、確実に取り上げるべきだと強く述べた。拉北者家族会は29日に声明を発表、「1次的には北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)政権に責任があり、2次的には拉致被害者問題を解決しようと努力しない盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権に責任がある」と主張した。首脳会談でこの問題を話し合い、拉致被害者の生死確認と全員送還を実現するよう求めている。


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