事件では2人の人質が殺害されたが、それ以上の犠牲はなく、残る全員の解放が実現したのは何よりも最大の成果だった。憲法に明示された「海外の韓国民保護義務」を履行するため、政府が武装勢力タリバンとの直接交渉など、国際慣例を超えた努力を繰り広げた結果であり、イスラム圏外交における限界を乗り越え最善を尽くした成果と評価できる。タリバンに対し譲歩はないという立場を固守してきたアフガンと米国に柔軟性を求め、イスラム諸国のタリバンへの影響力を得るなど、一連の過程で韓国政府の外交力を確認できたことも、1つの成果と言えるだろう。
また今回の事件を通じ、国民に対し少なくない啓蒙効果を収めたことも忘れてはならない。拉致被害者救出に向け国力を消耗する政府を見た国民が、在外国民保護の義務を政府にただ押し付けるのではなく、「安全は自らが責任を持つ努力をしなければならない」という認識を持つようになったのも、今回の事件が残したものだ。
しかし政府は、テロ団体とは直接交渉を行わないという国際社会の不文律を破ったことで、対テロ戦争に賛同する国としての格にも少なからず傷が付くことを甘んじて受け入れなければならい。事件とは関係なく予定されていたことではあるが、タリバンと交渉の結果として年内の軍撤退を約束したこと、宣教禁止を約束したことは、タリバンに戦功を与え、韓国には「恥」となったと言わざるを得ない。またアフガンを渡航禁止国に指定したことも、韓国・アフガン関係はもちろん、西南アジア外交の面でも少なくない損失として記録されることになるだろう。
Copyright 2007(C)YONHAPNEWS. All rights reserved.
Copyright 2006(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0